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有園が訊く!

放送と通信が融合する時代、AbemaTVの存在価値とは?


UXとコンテンツの質で勝負かける

有園:映像サービスには、テレビやAbemaTVのようなリニアな視聴の一方で、オンデマンドもありますが、そもそもなぜリニアのほうを選んだんでしょう? 僕は、若者にリニアな視聴体験を呼び戻したという点で、AbemaTVの働きは大きいと思っていますが、きっとローンチ前に議論はありましたよね。

小池:大きな理由は、もうオンデマンドはグローバルでの巨人プレーヤーが確立し、その他にも多くのサービスがあるタイミングでしたので差別化するためのアイディアが必要でした。一方でリニアな映像サービス、今のAbemaTVのようなものはまだ世界にもなかった。先ほどのご指摘のように、ネットでも受動的なメディアがあったらいいだろうと考えたんです。

有園:成功への確信は?

小池:なくはなかった、というところですかね。やるからには、まずは初期に埋もれないためにUXを磨き上げてストレスを極力減らし、どこにもひけを取らないコンテンツをリリースすれば「ネットサービスもここまでできるのか」と世の中にサプライズを与えられるのでは……と。

有園:なるほど。ところで既に500万規模でユーザーがいると、オーディエンスターゲティングみたいな仕組みを作る考えはないんですか?

 印象論ですが既存の地上波は、50代以上に適したメディアになりつつあると感じていまして、そのような番組も出てきています。一例を挙げるとテレビ朝日の「やすらぎの郷」などは、明らかにご年配の方をターゲットにしています。その一方でAbemaTVは若い人たちに適したメディアで「オオカミくんには騙されない」がわかりやすいコンテンツですね。御社の場合はそもそも10代・20代をターゲティングしているようなものかもしれませんが。

小池:基本的には、やりません。まずはAbemaTVの良さであるリーチを最大限に活かしつつ、これだけ編成にこだわっているので、あくまでコンテンツとのマッチングを最適化することでリーチを高めていきます。それで広告価値は十分出せると考えています。

 シンプルに、テレビのスポット枠の進化版という感じですね。プランニングシステムも整備して、広告主さんや広告代理店さんも自分たちで調整できるようにしています。

プレーヤーが出そろう際に波に乗れるように

有園:1社提供番組は、あり得ますか? テレビと違って視聴ログを追えるなら、位置情報と組み合わせて、たとえば化粧品メーカーの提供番組に接触したユーザーが実際に購買したかがわかったり、割引のプッシュ通知を出したりもできそうです。御社にも、位置情報を使った「AIR TRACK」という行動ターゲティングツールがありますよね。

小池:システム的にはすぐにでも可能です。ただ、現時点では1チャンネルの母数が多くなく、1社提供になるとさらに狭まるので、強い要望があるとき以外はやっていません。インフォマーシャルのような数分番組を各所に差し込んでリーチを積み上げつつ、全体にスポットを流すといったプランが多いです。やはり広告ではリーチが大事なので、そこを活かせるプランニングを中心にと考えています。

 その先は、たとえばデータをこちらのDMPに貯めて、AIRTRUCKでリアルなターゲティングをする、再来訪をチェックするなども検討しています。

有園:仮に民放と組んでそうしたことを行うと、テレビとAbemaTVを横断してリターゲティングができたり……。それならテレビの価値も再定義されそうです。

小池:そこまでの状態が整うと、完全に僕らには追い風ですね。ブランドリフトだけでなく、純粋に広告の1インプレッションの価値が様々な角度から証明されると、広告も拍車をかけて売りやすくなると思います。

有園:新しい価値が得られるなら、広告主もプラスアルファで出稿するのでは。すると広告市場6兆円をメディア間で取り合うのではなく、7兆8兆と広がることもあると思います。マスメディアが衰退していちばん困っているのは広告主なので、それを打破する意味でもAbemaTVには期待しています。

小池:ありがとうございます。近い将来、一気にプレーヤーが増えるタイミングがあるなら、その波にしっかり乗れるようにアップしておきたいですね。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2017/06/29 19:45 https://markezine.jp/article/detail/26584

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