効率的なマーケティング=適切な歩留まりを保つこと
MZ編集部:では理想的なマーケティングってどのようなものなのでしょうか?
村岡氏:ターゲット総数から「認知者」「理解者」「意向者」「行動者」「決定者」へと変遷するにつれて、その人数の減り方がなだらかであるほど健全なマーケティングだと考えています。
従来の施策では、マス施策などを通して商品の「認知」はされているものの、生活者に競合商品との差異を認識されておらず、「理解」以降の人数が激減してしまう「認知依存型」や、アドテクに依存していることにより、認知者は少ないのに最後のコンバージョンだけ異様に高い「販促依存型」などがありました。
しかしこれでは、適切な歩留まりを維持できていないが故に、どこかのタイミングで顧客獲得が急激に悪化したり、半永久的に広告投下をし続けないと顧客獲得ができなくなってしまうなど、企業にとって課題の残るマーケティング構造になってしまいます。
この不健康なマーケティング構造を改善するには、ブランドの「理解」「意向」の規模と割合を引き上げていくことが重要です。結果的に「認知」「決定」の両面に好影響を与えることにもつながるので、長期的なマーケティングを実現するための一番の近道になると考えています。
そこで、ブランドの「理解」「意向」の規模と割合を引き上げることが、「認知」「決定」の両面に好影響を与え、より長期的なマーケティングにつなげるための一番の近道だと考えています。
MZ編集部:では具体的に、企業は「ブランドタッチマネージャー」の活用で何ができるのでしょうか?
村岡氏:まず、「認知」「理解」「意向」「行動」の4つに分けた、ブランドと生活者の関与レベルをサーベイやソーシャルメディア上の情報から取得してスコア化します。このスコアのことを「ブランドタッチポイント」と呼んでいます。
このスコアを競合他社と比較し、その推移を追っていくことで導入企業は施策単体ではなく、ファネル全体を通したマーケティング施策の課題を明確化し、ブランド全体を最適化するための方法を検討することが可能になります。
人を軸にしたSNS IDで、心理データ×行動データを実現!
MZ編集部:オークローンマーケティング様が「ブランドタッチマネージャー」を導入した決め手はなんだったのでしょうか?
野崎氏:定量的に数字を見ることができること、そこから抽出した課題に対して打ち手が作れること。この2つが大きかったです。あと、静的に数字を見るだけではなく、お客様の心理変化や態度変容を動的に捉えて評価し、使用する媒体を見定めていけることですね。
従来であれば、FacebookやLINE、Instagram、Twitterといったメディア単体でのユーザー認識はできましたが、それを共通のユーザーIDにして管理することは難しかった。でもアライドアーキテクツさんの施策では、独自のユニークIDに加えユーザーに紐づくサーベイ回答データを取得することができるので、「Facebookでつながっているショップジャパンのファンの人は、オウンドメディア上でこんなアクションを取っていたのか!」というように、人を軸にした様々な情報を管理できることもポイントです。
村岡氏:そうなんです。SNS IDを軸にユーザーを評価しているため、従来のcookieベースでの状態変化調査では実現できなかったユーザー群の定点変化をトラッキングすることができます。これを基に、最初に把握したマーケティングファネル全体に対する課題の原因を特定することで、次に打つ最適な施策とその予算規模を考えることが可能になるのです。費用対効果を見ながら、マーケティングコミュニケーションのPDCAを回すこともできますね。
MZ編集部:導入後、実際に活用してみてどういったところに魅力を感じていますか?
野崎氏:まだ導入したばかりで、今はまだお客様のデータを一元管理していく段階なので、具体的な施策と結果は出ていません。ですが、既に3万人のお客様のデータを「ブランドタッチマネージャー」に落とし込んでいます。そこから心理データと行動データを独自指標でスコア化していくのですが、それを観察していると、お客様のソーシャルメディアの利用状況に関して意外な新発見が沢山ありました。
村岡氏:先ほどのマーケティングの歩留まりでいうと、オークローンマーケティングさんの商品の認知や売上はすごく高い。しかもファンも多いですから、ソーシャルメディアを活用すれば、マーケティングの革命を起こせるのでは?と思っています(笑)。
たとえば、インフォマーシャル(※)やテレビCMは「これ楽しそう」と理解をしてから購入に至るもの。それは、ソーシャルメディアと同じ流れです。
だから今までマスで行ってきた表現をいかにソーシャルメディア向きの表現に変えていくかが重要だと思っています。そのために、潜在層を含めたお客様の状態を可視化することで、コミュニケーションをブラッシュアップしていければと考えています。