マーケターの業務が幅広い中小企業こそ、MAは必要
MarkeZine編集部(以下、MZ編集部):ディーエムソリューションズ様は、紙とWebを利用したマーケティング支援を行っています。具体的な事業内容を教えてください。
徳井氏:弊社には、3つの主幹事業があります。まず、創業事業であるダイレクトメール事業と、新しくスタートしたバーティカルメディア事業。そして、Webコンテンツ制作やSEO対策なども含めて、デジタルマーケティングを全体的に支援するデジタルマーケティング事業があります。マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールの「SATORI」は、このデジタルマーケティング事業で導入しています。
MZ編集部:徳井さまは、どのような業務を担当されているのですか?
徳井氏:私はマーケティンググループに所属しています。この部署は、展示会への出展やセミナーの企画、「デジ研」というオウンドメディアの運営、ネット広告の運用を行っています。その中でも力を入れているのが「SATORI」を通して営業先リストを作成することです。営業担当と密に連携をとって、事業部全体の売り上げを伸ばすことを目標としています。
新人時代の非効率的なテレアポ経験をバネに営業のトップセールスに
MZ編集部:マーケティングに関して、幅広く担当されているのですね。徳井さまは、初めからマーケティング担当として配属されたのでしょうか。
徳井氏:いえ、入社して4年目になりますが、最初の2年間は営業をしていました。BtoBの企業ということもあり、新人営業はテレアポがメイン業務でした。展示会やセミナーで集めた既存リストに対して、商談獲得を目的に1日中電話を掛けていましたが、とても非効率だと感じていました。もっと効率的な営業の方法があるのではないかと思い、個人的にテレアポのやり方の改善を図りました。
たとえば、展示会で頂いた名刺をもとにテレアポをしても、そのタイミングでお客様がサービスの導入を検討されているかはわかりません。そのため私は、初回のコール時に商談打診を行うのではなく、まずはお客様の状況をヒアリングし、検討していただけるタイミングに合わせて提案へ行くという方法をとるようにしていました。
MZ編集部:やみくもにテレアポをするのではなく、自分でフィルターをかけて確度の高いお客様に対して営業をしていたということですね。まさに、MAで実現したいことを自ら実践していたと。
徳井氏:実際に効率も良く、2年目で新規営業のトップセールスになることができました。そして、マーケティング部署の立ち上げのタイミングでマーケティング担当となり、私が実践していた営業ノウハウをそのままMAで活用することにしました。
これまでも様々なツールを導入していましたが、社内では活用されないままでした。やはりマーケティングの専任者を配置して、ツールの活用をリードする必要があると思います。
MAには個性がある、MA導入の目的にあったものを選ぶべき
MZ編集部:「SATORI」は、どのような経緯で導入されたのでしょうか。
徳井氏:「SATORI」を知ったのは、植山さん(SATORI株式会社代表取締役 植山 浩介氏)のセミナーへ行ったことがきっかけですね。匿名顧客へのアプローチに強いというところに惹かれました。
MZ編集部:従来のMAは、企業が持っているリストの中から顧客をナーチャリングしていくことにフォーカスしていますよね。
徳井氏:MAとひとことで言っても、各社のツールで機能面の強みに違いがあります。私たちは、新規のリードを獲りにいきたいという意識が強くありました。そのため、Webサイトの閲覧履歴を分析することで、まだ個人情報を取得していないユーザーに対しても適切なアプローチを可能にする、アンノウンマーケティング機能をもつ「SATORI」がマッチしたのです。新規顧客を獲得しながらナーチャリングもできるという部分に、私たちが求めていたものがぴたりと当てはまりました。
MZ編集部:とりあえずMAを導入しようではなくて、何を実現したいかを考えてツールを選んだということですね。
徳井氏:はい。MA導入の2ヵ月くらい前からシナリオを考えて、目的をより明確にしていきましたね。また、しっかりとマーケティングに取り組むのは初めてだったので、使いやすさも重視していました。
「SATORI」は国産ツールなので操作画面がわかりやすく、機能の要望や改修などのフィードバックも前向きに検討してくれます。また、コストパフォーマンスも良いですね。”求めていたリード獲得機能がある・国産ツールである・コストパフォーマンスの良さ”この3つが決め手となり「SATORI」の導入を決めました。
営業担当者にMA導入を受け入れてもらうための壁……
MZ編集部:実際に「SATORI」を導入して、いかがでしたか。どのようなことから取り組まれたのでしょうか。
徳井氏:まず数万単位で社内に眠っていた名刺を、「SATORI」へインポートしました。そしてマーケティング担当から、セミナーのお誘いやお役立ち資料のご案内などのメールマガジンを定期的に配信するようにしました。
続いて、お客様の興味関心度合いに合わせたメルマガを配信や、確度が高いと検知したお客様には「SATORI」から直接商談へ誘導するようなメールを送っています。これで営業担当へホットなリードとして引き継ぐことができるようになりました。
また、テレアポのルールも変更しました。これまでは営業担当が独自に判断した顧客リストを使っていましたが、「SATORI」によりナーチャリングされた顧客リストを元にテレアポをするようにしたのです。
MZ編集部:なかなか思い切った作業フローの変更ですよね。営業側からの反応はどうだったのでしょうか。
徳井氏:自由にテレアポができないため、営業担当からは「MAに効果があるのか?」という若干ネガティブな反応はありました。ですから、まず我々マーケティング担当が行動し、「SATORI」の効果を示すことが重要なのではないかと考えました。
そこで、マーケティング担当が自ら「SATORI」を活用したテレアポを行ったのです。資料をダウンロードされたお客様やサイトの回遊率が高いお客様のリストを作成し、電話をかける。その後、アポの獲得率を出し、実際にMAの効果があることを営業担当に数値で見てもらえるように提示したのです。
「SATORI」を導入する前と比べ、約15倍のテレアポ率改善となりまして、一目瞭然の結果だったので、テレアポルール変更への理解が得られマーケティングと営業の協力体制がとれるようになりました。
資料のダウンロード数が5倍以上に!大事なのはシナリオ設定
徳井氏:「SATORI」には、Webサイトの閲覧者にポップアップ表示を出す機能があります。これが、新規リード獲得(匿名顧客の実名化)に大きく貢献していまして、そのベースとなるシナリオは細かく設定していますね。
他の施策も行いつつではありますが、資料のダウンロード数が「SATORI」導入前の5倍以上と伸び続けています。こういった結果も出ているので、「SATORI」に対する営業担当からの信頼はあついと思います。
そして営業担当も成果を知っているからこそ「SATORI」を営業自身も自ら活用しています。たとえば、失注した案件に関しては、失注のフラグを立ててもらう。そのフラグが立てられていると、半年後にお客様へリマインドのメールが配信されるよう、シナリオ設定をしています。失注後、最適なタイミングで再提案したことにより受注となった案件があったのは、とても嬉しかったです。
MZ編集部:お客様・営業担当の双方視点からみて、良いタイミングで商談を進めることができていますね。
徳井氏:「SATORI」の導入で最も良かったなと感じることは、営業担当がお客様のタイミングに合わせて効率よく提案ができるようになったことです。マーケティングと営業、営業とお客様、双方のコミュニケーションが大事だと考えています。
また営業部門だけではなく、他部署に協力していただいたことの結果や成果については社内で積極的に発信・共有していくようにし、信頼関係を築いています。
「SATORI」の成功事例をユーザー企業同士でシェア
MZ編集部:そのほか、「SATORI」の導入で得られた効果は、どのようなことがありますか?
徳井氏:ホットと定義するセグメントは思いつく限り多数設定し、シナリオで対象のセグメント該当者をテレアポ担当へ通知して、コールからの商談化率を計測。週次・月次で見直しを行い、効果がないものの改善・最適化を図るというPDCAを常に回しています。
現在は広告出稿を行わず、MAとインバウンドマーケティングのみで目標が達成できるようになりました。
MZ編集部:最後に、今後の事業展開や「SATORI」に期待することを教えてください。
徳井氏:SATORI社の良いところは、自社で「SATORI」を活用し、効果のあった事例をたくさん公開されていることですね。また「SATORI」のユーザー会では、他社さまの具体的な事例もうかがうことができ、とても参考になりました。(YouTube動画:ユーザー会の様子)アウトバウンド型の営業を行っている企業さまは、ぜひMAの活用をおすすめします。抱えている課題の多くを解決できるはずです。
当社でも、デジタルマーケティング事業での成功体験を踏まえて、全社的に「SATORI」を利用することになりました。また今後の展開としては、異なるサービスを扱う事業部をまたいで成果が出せるよう、日々「SATORI」と向き合って活用していきたいと思います。