コンテンツにブランドを投影する
Webコンテンツでキャラクターが論じられることはまだ多くありませんが、それは単発のコンテンツが多かったからです。単発の場合はキャラクターを立てる余裕がないため、世界観の設定やストーリー重視になるからです。
コンテンツを大きく分解すると、キャラクター、ストーリー(謎/トラブル)、メッセージ(作品のテーマ)の3つです。以下のように、そのいずれかにブランドを投影することになります(状況設定が特殊な場合、世界観もコンテンツの要素になります)。
1. キャラクター自体にブランドを投影する
2. 謎/トラブルにブランドのバリューを反映する
3. コンテンツのメッセージとブランドのメッセージを合わせる
2と3についてはこれまでの連載で紹介してきましたが、1についてとても参考になるのが『The Hero and the Outlaw』(McGraw-Hill Education)です。

欲望とブランドをマッピング
『The Hero and the Outlaw』は、神話や物語の中で登場するキャラクターがどの企業ブランドに対応するかを論じた本です。ブランドとキャラクターは様々な人間の欲望や動機を反映しているため、結果として驚くほど似ているのです。次の図は欲望とブランドをマッピングしたものです。わかりやすくするため、一部を日本で知られているブランドに置き換えています。

おもしろいことに、この図は『「欲しい」の本質 人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方』(宣伝会議)で紹介されているインサイトの図解「欲望マンダラ」ともかなり一致しています。

この図は人の欲望を分類したものですが、「自分と他人」が横軸、「変化と維持」が縦軸になっています。これはそのまま、先ほどの図の「自由と仲間」、「挑戦と制御」という軸と同じです。
どちらも人間を分類化しているため似てくるのは当然なのですが、対応関係を把握することで、マーケティングの核であるインサイトとブランドをキャラクターに投影する手がかりになります。