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MarkeZine Day 2025 Retail

おもてなし業界のデジタルマーケティング最前線

雑誌一強だったブライダル業界の広告に変化が 現場スタッフが展開するデジタルマーケティングの実態


現場スタッフでもマーケティングを行える仕組み作り

――では店舗ごとにマーケティングの専任を置いているのですか?

石川:はい。といってもマーケターを採用しているわけではなく、現場のウェディングプランナーがマーケティングも担当しています

――ブライダル業界は現場重視ゆえに、プランナーさんがマーケティングの業務まで遂行するのは非常に大変そうなイメージがありますが、何か工夫されているのですか?

石川:先述したアナリシス社で提供している業務管理のアプリケーションを活用して、プランナーの事務作業をできる限り減らしています。婚礼事業ではひとつのパーティーを行うために、数十種類のアイテムを揃えていく業務フローがあります。実はこの発注の時に、未だに一番使用されているのがファックスなんです。

お花などのグッズから司会者の手配まで、必要な素材の発注作業には非常に時間がかかる
お花などのグッズから司会者の手配まで、必要な素材の発注作業には非常に時間がかかる

 この受発注のやり取りは本当に時間がかかるんですね。ダブルチェックをしても、どうしても金額や個数のミスが出てしまうことも課題でした。そこでPhorbs(フォーブス)という婚礼・宴会管理のアプリケーションを開発しました。このシステムは、結婚式場とアイテムのサプライヤーがクラウド上で受発注の確認を行えるプラットフォームのようなものでして、ワンクリックで受発注やその確認のやり取りが可能です。

 このシステムを活用し始めて、ひとり当たりのパフォーマンスは確実に向上しています。ブライダル業界は、やはり人手不足です。業界の常識としては、離職率も高い。こうした状況の中で、マーケティングのために現場から人手を出すのは厳しいですし、本来ならお客様の前に出て営業するスタッフを増やしたいのは現実です。なので、マーケティングを拡充することと現場の事務作業を減らすよう努力するのは、両輪だと考えています。このやり方を始めて、2~3年で上手く回り始めたと実感しています。

――現場にマーケティングの知識やノウハウを持ったスタッフがいないという課題もよく聞きますが、これに対してはどう対応しているのですか?

石川:確かに、プランナーとしてひとりのお客様に接するのと、マーケティングでマスに対して集客を訴求するのでは、必要になる視点が異なります。しかし、マーケティングの専門家を雇わないとできないことではなく、むしろお客様に相対して肌感覚を持ったウェディングプランナーがマーケティングに従事することに価値があると考えています。

 知識やノウハウの蓄積に関しては、現場のマーケティング担当者をできるだけ長く置くことで対応しています。担当を長く置けば自分で勉強もし始めますし、逆に自発的に勉強をするようなスタッフをアサインすることで上手くいくのかなと思っています。

デジタルマーケに取り組むきっかけになった、大阪の式場の立ち上げ

――Plan・Do・Seeは、業界の中でもデジタルマーケティングにおいて前衛的な企業だとお伺いしました。いち早くデジタル活用を始めたのには、きっかけなどがあったのですか?

石川:全社的にデジタル活用の機運が高まってきたのは、ウエディングパークさんと一緒に大阪の式場の立ち上げをした時ですね。これが2015年の冬です。

 この時はリスティング広告をメインに取り組みました。ウエディングパークさんもリスティング広告事業を立ち上げたばかりで手探りでしたが、毎月のように大阪で施策内容を話し合って、予算も徐々に大きくしていきました。実際に業績にも結びつきまして、大阪というPlan・Do・Seeにとって初めてのマーケットで、お客様からの大きな支持を得ることができました。デジタルマーケティングを本格的に始めたのはこれがきっかけでした。

――デジタルマーケティングでは、何をコンバージョンに設定していますか?

石川会場見学会(ブライダルフェア)への来館予約をWebで獲得することをコンバージョンとして設定しています。ブライダル事業では、ネットだけで成約が生まれることはまずありません。実際に来館していただいて、お話しさせていただかない事には、基本的に成約につながらないんですね。なので、まずは会場に来ていただくことを目標に、デジタルの施策を打っています

――リスティング広告以外にも、実施されている施策はありますか?

石川:はい。YouTubeの動画広告や、ディスプレイ広告、Facebookの広告などを行っています。主なターゲットが20~30代の女性なので、Instagram広告が効果的かと思われるのですが、Instagramは同じ層の女性をターゲットとしている広告が既に多く展開されており、その分単価も高いので今のところ手広くはやっていません。

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現場スタッフにしかできないマーケもある

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/10/17 19:05 https://markezine.jp/article/detail/27141

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