巻き起こる人から枠への回帰
他の媒体も選択肢にある中で、ルトロンに決めた理由はなんだったのだろうか。廣澤氏はこう語る。
「ネット広告の歴史の中で“枠から人へ”という言葉が生まれたと思いますが、昨今のブランドセーフティやフェイクニュースの問題を受けて、『どこ』で『何を』読むかの一貫性が重要になってきており、“人から枠へ”と原点回帰する動きもあると思います。そのため、媒体を選定する際に、生活者がどういう情報を求めている場所であるかを考えることが重要視されるようになりました。
その中でルトロンがメディアとして持つ特性が、ユーザーのどこかに行きたいというモチベーションとマッチしていて、銭湯や今回の施策にも合うと考えました」(廣澤氏)
さらに花王ではルトロンでの訴求に加え、若い世代の人が銭湯に行きやすくなるよう、東京都浴場組合と共同で都内の銭湯マップを制作している。
「銭湯マップでは500軒以上の銭湯が掲載されています。紙にはなりますが、それを持っていただきながら、銭湯巡りをしていただけたらいいなと思っています。私はまだ70件ほどしか行けておらず道半ばですが、すでに素敵な銭湯に多く出会えたので、若い人にもそういった体験をしてもらいたいですね」(豊田氏)
1コンテンツに留まらせず、多くの媒体で広く伝達
今回の施策、「ホワイト」のことを広く知ってもらうのはもちろんだが、「この施策で商品が売れていくことももちろん重要だが、それよりもまずは空気作りをしたい」と廣澤氏は語る。
「豊田の考えのように、銭湯の良さは若い人にもっと理解してもらえるポテンシャルを持っています。その良さを伝えることで、銭湯っていいなという空気感を作るのが今回のミッションだと考えています。若い世代に向けた施策を通じて、高齢者の方や銭湯好きなの方との一体感を作っていきたいです」(廣澤氏)
動画は10月20日に公開されたばかりで効果検証はまだこれからだが、結果として銭湯の来場者が増え、その中の若年層の率が高まることを目指している。
「ルトロン経由で来場したかを測るのは難しいと思うので、いかに効果計測するかが課題になると思います。ただ、今回はテストマーケティングの意味合いが強い施策でもあるので、やってみての反響を見たいなと思っています。
また、オープンエイトさんのほうでブランドリフトサーベイを行っていただき、コンテンツを見てくれた生活者が、実際にその銭湯に行きたくなったかどうか、購買意欲が上がったかどうかなどいくつかの指標をチェックしたいと思います」(廣澤氏)
オープンエイトでは、動画コンテンツの制作や展開から、効果の調査まで、全面的に支援している。同社はルトロンのメディア事業のみならず、国内最大級の規模と質を備えた女性系動画マーケティングプラットフォームの「VIDEO TAP」や動画記事広告を配信できる「NATIVE TAP」などのマーケティング事業を展開している。ルトロンで作成した動画タイアップ素材を上記配信プラットフォームで他媒体へも配信していくことができるのも強みの1つだ。