「キュレーション」で超パーソナライズを実現するという発想も
一味違った切り口で、超パーソナライズされたサービスを提供しているのが、米サンフランシスコ発の「Ittse」。
外出時に携帯する化粧品がかさばるという女性の悩みに目をつけ、口紅やアイシャドーなど複数の化粧品を一つのパレットに自分好みに配置できるサービスを展開している。
見た目の可愛いパッケージや選ぶ楽しみはもちろん、極力荷物を減らしたい旅行用や友人へのギフトとしても好評を得ている。自分好みのものを美味しいとこ取りできる、「キュレーション」と言い換えてもいいかもしれない。

消費者は、自分の価値観にあった商品を求めている
SNSで企業やインフルエンサーたちが発信する情報を手に入れ、YouTubeでメイクのチュートリアル動画を見て技術を磨く……。ミレ二アル世代やセルフィー世代は美に関する知識が豊富で、求める質のハードルが高い。
自己表現を大切にする彼女たちは、憧れのモデルや女優が使用している化粧品をそのまま真似るより、自分に合ったアイテムを使うほうが美しく見えることを知っている。そんな彼女たちの潜在的なニーズに「超パーソナライズ」は応えられているのだろう。
A.T.Kearneyによるアメリカの次世代の商業革命に関するレポートでも、今後企業に求められるアプローチの一つとして「パーソナライズ」が挙げられている。これまでは、「影響力のある一人が欲しいと感じたものは皆に受け入れられる」とされてきた。しかし、価値観が多様化した今、企業には消費者一人ひとりの価値観にあった商品を提供することが求められているのかもしれない。
洋服や靴などでは、パーソナライズは古くから「ビスポーク」と呼ばれ、富裕層が楽しむ富の象徴でもあった。しかしテクノロジーが進化した昨今、その障壁は下がり、完全オリジナルのパーソナライズアイテムを身につけることは、より身近なものとなりつつある。
これからはファッション、化粧品以外のコンシューマ向け業界でも、「超パーソナライズ」のトレンドが広がっていくかもしれない。