「目に見えない消費」に押し寄せる、パーソナライズの波
ナイキのカスタムシューズやプリントTシャツなど、「目に見える消費」における「パーソナライズ」のトレンドはこれまでもあった。そして今、「目に見えない消費」において、パーソナライズの波が押し寄せている。
特に顕著なのが「化粧品」。色やデザインといった見た目を超え、からだの内面といった「見えない」特徴も捉えたアプローチは、「超パーソナライズ」といって過言ではない。そしてこのトレンドを牽引するのは、若い世代のスタートアップたちである。
そんな超パーソナライズされたサービス、ブランドが受け入れられている背景には、自分が消費するものを選ぶという行為までもが「自己表現」と捉える、ミレ二アル世代、セルフィー世代の姿があった。
120億通りの組み合わせ!カスタムシャンプー&コンディショナー
米ニューヨーク発のコスメブランド「Function of Beatuty」が提供するのは、ユーザーの髪質に合わせて100%カスタマイズできるシャンプーとコンディショナー。
Webサイト上で、効能(しっとりや抜け毛防止)や髪色(アンバーや緑系)、そしていくつかの香りから自分の好みをチョイスして作成することができ、その組み合わせは120億通りにも上る。
ユーザーが質問に回答し、製品をオーダーすると、髪質に合った必要な成分を分析。同社のレシピを使ってシャンプーとコンディショナーの原材料が調合され、ボトル詰めされる。極めつけに、ユーザーの名前の書かれたラベルとバーコードがボトルに張り付けられて完成だ。
価格は、237mlで32USドル(約3,600円)。化粧品小売大手の「Sephora」で販売されているサロンクオリティのシャンプーが同量でおよそ25~30USドルであることを考えると割高感はある。
しかし、サービス開始後、2四半期連続で前月比50%の利益を生んだ。著名ベンチャーキャピタルの「Yコンビネーター」から1,500万ドル(約17億円)を調達したことも、同社の人気の高さと将来性を裏づけている。