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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2017 Autumn

急成長企業の広報女子が語る、今すぐやるべきこととやめるべきこと

 マーケティングと深く関わる広報活動。MarkeZine Day 2017 Autumnでは、4名の急成長企業の広報担当者が、それぞれの経験から「今すぐやるべきこととやめるべきこと」についてパネルディスカッションを行った。

 2016年前半にMarkeZineに掲載された記事の中から講演化の希望を募った「参加者リクエストセッション」。「あの記事の話をもっと詳しくライブで聞いてみたい」という声が最も集まったのはマンガ記事の『キラキラじゃない!急成長企業の広報女子が見つけた等身大のコツと成果』だった。

 そこに登場した4名の広報担当者が、試行錯誤の上で見つけた成果に直結するアクションと陥りやすい罠についてMarkeZine Day 2017 Autumnで語った。パネラーは、リノベるの田尻有賀里氏、レバレジーズの吉田ハルカ氏、Syn.ホールディングスの地田美紀氏、CyberZの高井里菜氏。モデレーターは、MarkeZine編集部の市川明徳が務めた。

目標設定はどうしていますか?

市川:最初にパネラーの皆さんの自己紹介をお願いします。

田尻:住宅や店舗のリノベーション事業やスマートハウス事業を展開するリノベるで広報を担当している田尻有賀里と申します。

吉田:人材関連やITの事業を行うレバレジーズ、広報担当の吉田と申します。個人の活動として、「広報LT大会」や「TOKYO MAEKETERS' TALK」といった広報・マーケターの方向けの勉強会も行っています。

地田:Syn.ホールディングスの地田と申します。サービス広報を経て、現在はインナーコミュニケーションをメインで担当しています。

高井:CyberZの高井と申します。弊社はサイバーエージェントグループの子会社で、元はスマホアプリに特化した広告代理店としてスタートしましたが、現在はゲーム動画配信プラットフォームの提供やeスポーツ大会の運営など、多角的に事業を展開しておりその広報の全般を担当しています。

リノベる株式会社 社長室広報担当 田尻 有賀里(左上)レバレジーズ株式会社 広報部 吉田 ハルカ(右上)Syn.ホールディングス株式会社 経営戦略本部 広報部 地田 美紀(左下)株式会社CyberZ 社長室 広報 高井 里菜(右下)
リノベる株式会社 社長室広報担当 田尻 有賀里(左上)
レバレジーズ株式会社 広報部 吉田 ハルカ(右上)
Syn.ホールディングス株式会社 経営戦略本部 広報部 地田 美紀(左下)
株式会社CyberZ 社長室 広報 高井 里菜(右下)

市川:では、最初のテーマ。広報活動の目標設定はどうしていますか?

田尻:半期に一回、定性と定量の両方で設定しています。定性は「○○の状態になっている」といったことを目標に、定量は広報の目的を達成できるメディアでの掲載数と内容をスコア化して算出。イベントや勉強会の数も入れています。

吉田:通年で追っているのは自作のパブリシティスコアとプレスリリースの配信数です。加えて、たとえば「この課題解決のためにこんなイベントを開催して、満足度を追う」とか「このメディアにこういう切り口で載る」など、案件毎に目標を立てます。パブリシティスコアは、掲載内容の量と質を定量化して評価できるよう設定。さらにSNSでの反響や、問い合わせや流入にどれだけつながったか、そして参考値として金額換算した場合にどれくらいの価値が出たかを見て、効果を測定しています。

レバレジーズにおける広報活動の目標設定
レバレジーズにおける広報活動の目標設定

地田:私は、社員同士のつながりを強化するインナーコミュニケーションとして、社内報や社内イベントを担当しています。弊社は戦略的M&Aを繰り返してきて様々な文化背景を持つ企業出身の人が集まっているという特徴があります。この特徴は私たちのアイデンティティでもあり、社員が元々の企業で培った多様な価値観を受容していきたいと考えています。同時に、一つの会社として結束を高めるためにインナーコミュニケーションに注力しているというわけです。

 最も力を入れていることが、「密度の高い交流機会」を作ることです。KPIとしては、「のべ参加者数」「ユニーク参加者数」「つながり深まり度」の3つを見ています。特に重要視しているのは「つながり深まり度」で、「これからも積極的に話しかけていきたい人が増えたか」といったアンケートで確認しています。

高井:以前は広告換算値をおいていましたが、やめることにしました。会社の変化もスピード感があり、幅広い領域の広報をしているので、今は1つの指標でみる月間目標を設けていません。経営の肝となっているものや事業のフェーズに合わせて都度、目標やKPIも毎回変えています。たとえば「動画広告に強い代理店というイメージを高めたい」ということだったら、動画広告に関する情報発信の回数を増やせるようにリリース本数で追ったり、イベント広報の場合は一般認知を狙ってテレビ露出を1番の目標にしましょうと言った形です。半期など大きなくくりでは、状態目標を言語化し定性評価を大切にしています。

市川:広報の目標設定と売上の関連についてはどうですか?

田尻:弊社の場合はマーケティング部と広報が別の組織にあり、ショールームの集客に関する数字はマーケティング部が追っています。そのため、広報は別の視点で目標設定しています。

吉田:広報は、必ずしもすぐ数字として効果が見えるわけではなく、日々の積み重ねが何年か後に“こういう会社だよね”というイメージを作る仕事だと思っています。私は効果測定として流入や問い合わせなどを見ていますが、KPIにはしていません。とは言え、社内に広報の価値を伝える上でも数字は必要になってくるので、先ほどお話したような定量化を試みているところです。

高井:弊社の場合も、売上に直結ということよりも、その先の事業をやる上での土壌づくりを大切にしています。先んじて取材などで今後の戦略をお話ししたりして、事業を進めやすくすることを求められています。

地田:別のメンバーがサービス広報をしていますが、たとえば「(新たに取引先となりうる)お問い合わせ数」とかも、目標としては追っていないですね。

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27285

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