セゾン×オムニバスで生まれるコラボレーションとは
ーーー今回一緒になったことで、どういったことが可能になると思っていますか。

山本:クレジットカードのデータを使って広告配信を行う、これだけでもおもしろいことですが、長期的にリテールテックとフィンテックとアドテクノロジーをすべて組み合わせることができれば、世界的に見ても新しい、素晴らしく価値のあるソリューションが提供できるようになるのではないかと考えています。
———磯部さんからの視点ではどうでしょうか?
磯部:私たちみたいな流通や小売との提携カードが多い企業はまず小売やECに対して提携カードを推進し、よりカードの利用額を増やさなければいけない立場です。また、提携カードの利用を活性化させるには、旧来のカード会社におけるやり方の延長で考えると、コストをかけてやらなければいけないある種無償サービスなんです。
ですが、IT、ビックデータの技術でこれを高精度に効率良く行う。さらに、アドテクノロジーの力を借りることによってマネタイズを狙うことは自然な流れで、僕らとしてはカードのマーケティングの延長線上にこういった新しいビジネスモデルが出てこないといけないと考えています。
フィンテックの軸でいうと、スマホが普及し、スマホでサービスを提供する様々なプレーヤーが決済の領域に入ってきた。その中で僕らがメインプレーヤーとしてやれるチャンスもあるし、そうならないといけない。そのためには従来の人材や体制だけではなくオムニバスと一緒になることで、誰よりもうまく、早く、的確にできるようにならなければと思います。
———現在、両社で動きは進んでいますか。
磯部:4月の終わり頃に一緒になり、まずは経営陣だけではなくお互いの社員、直接関係のない他の部門も含めて今回の取り組み目的を理解、浸透させているところです。そこは丁寧に時間をかけてやることが重要だと思っています。
また、先ほどお話ししたような、クレディセゾンとオムニバスが持つデータやテクノロジー、営業体制などお互いのリソースをうまく使った新しいメニュー、新しいマーケティングの仕方を一緒に作っていくことを検討しています。
山本:今の動きとしては磯部さんのお話した通りです。今後両社のリソースを活用してできたら良いなと個人的に考えているのは、データビジネスの展開です。
たとえば、FacebookやGoogle、 Amazonといった企業は、自社で持つ購買データやオーディエンスデータ、検索履歴をビジネスに活用しています。クレディセゾンにもクレジットカード事業を介して得られる膨大なデータがあるので、それを用いたらチャンスがあるのではないか、と考えています。
磯部: 最近よく議論することなのですが、データを独占的に囲い込むAmazon、Facebook、Googleなどのプレーヤーの反動で、海外ではアドブロックのようなものが出てきたり、データの扱いに対して非常に厳しい規制が入ってきたりしていますよね。
日本は今のところ、国、行政、もしくは企業それぞれが妙に何をどうしたらよいのか迷っているというか、臆病になっている。日本が、データ活用に対してどう向き合うべきかわからない状況になっている中、僕らみたいなカード会社は、正面から正々堂々とマーケットに対してデータを流通させられるプレーヤーになれたらと思っています。
出元のわからない不確かなデータも流通していると聞くので、その中で僕らみたいなカード会社が実購買に近いアクチュアルなデータを適切に提供できれば、新しいプレーヤーとして価値を創出できるのではと思っています。