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データ分析のポイントはトレンド、ベンチマーク、セグメント――脱初心者を目指すマーケターのために

 データ分析は単に数字を眺めるのではなく、気づきを得て改善案を考え出さなければ意味はありません。そのための具体的な手法について学べる「脱初心者向け」のMarkeZine Academyの講座が「Googleアナリティクス実践講座 分析&改善編」です。今回、講師の小川卓さん(HAPPY ANALYTICS)に本講座で学べるポイントをうかがいました。

Googleアナリティクス実践講座 分析&改善編

データをどう解釈すれば気づきを得られるのか

――小川さんが講師をされている「Googleアナリティクス実践講座 分析&改善編」はデータ分析に関して詳しい方法を知りたい方向けだと思います。最初に、この講座の概要を教えてくださいますか?

小川:Googleアナリティクスの用語解説やレポートの見方については、野口竜司さん(イー・エージェンシー)が担当されている「Googleアナリティクス実践講座 基本操作編」で説明されています。

 私が担当する「分析&改善編」は、レポートの作成方法がわかった、数字の意味もわかった、そんな人がデータをどう解釈すれば気づきを得られるのかをお伝えする講座です。実際にGoogleアナリティクスを使い、具体的な分析手法と改善案を考え出す方法について解説します。

 分析の考え方はシンプルで、いい施策は増やす、悪い施策は改善するというだけです。でも、具体的に改善案を考えるのはなかなか難しいんです。サイト内のあるボタンを押してくれる人の割合を増やしたいというとき、何をすればいいのか。ボタンの色を変えればいいのか、デザインを変えればいいのか。この講座では、そうした改善案の見つけ方を学ぶことができます。

 また、講座の形式としては、Googleアナリティクスのこの機能を使えばこんなことができる、といった感じで、様々なワークを行って分析を体験してもらうことを主軸としています。そして分析手法を掴めたら、事例を用いて改善案を考えてもらいます。

――現場では分析と改善を同じ人が担当するものなんでしょうか。

小川:分析と改善案を考えるのはセットで、改善案を実行する人は別なことが多いですね。施策自体はいろいろとありうるので、エンジニアやデザイナー、ライターなどがそれぞれの領域で行うはずです。また、「分析したから改善案を考えて」と両者を別の人に依頼しても、おそらくいい改善案は思いつかないはずなんです。分析した人がデータを最も理解していますから。

小川卓さん
小川卓さん:HAPPY ANALYTICS 代表取締役社長

分析手法としてのトレンド、ベンチマーク、セグメント

――では、実際にデータを分析するにはどうすればいいのでしょうか。

小川:例えば、今月の売上が500万円で、5万人の訪問があり、コンバージョン率が3%だったとします。このデータは事実であり、これだけ見ていても気づきや改善案はありませんよね。

 このデータをどうやって分析すればいいのかというと、3種類の考え方があります。それはトレンド、ベンチマーク、セグメントです。

 トレンドは、データを時系列で比較して分析することです。つまり、前月との比較でどうか、前年同月との比較はどうか、とデータを見比べるんです。1ヵ月で見たときも、ある日だけ突然大きく上下していないかを見ます。

 先の例で言うと、前月の売上が400万円なら短期的には上がっていますが、前年同月が700万円なら長期的には下がっています。すると、下降気味の中で短期的に上がったのはどんな施策を行ったからなのか、と考えることができます。時系列で違いを見つけることで原因を探るのがトレンドという考え方です。

 ベンチマークは、何かと比較して違いを見つけることです。データ単体では意味がありませんが、目標設定されていれば意味のある数字となります。今月は4万人の訪問と5%のコンバージョン率を目標にしていたとしたら、先ほどの数字では、訪問は多くてもコンバージョン率は達成していなかったことがわかります。

 なぜ訪問は伸びたのか。SNSでバズって想定外の集客があったのかもしれません。なぜコンバージョン率が低かったのか。人気商品が品切れになっていた可能性や、サイトのレイアウトを変更した影響などが考えられます。

 設定した目標と比較することで、なぜよかったのか、なぜ悪かったのかを相対的に見つけ出すのがベンチマークという考え方です。また、同業他社をベンチマークにするという方法もお勧めです。

 そしてセグメントは、データを分割して分析することです。例えば、サイト訪問者のデバイスをスマホとPCで分けてみることが一つ。スマホとPCでまったく同じ数字にはならないでしょう。あるいは、新規とリピートで分けてみるのも有効です。流入先や年齢層、会員・非会員で分けてみてもいいですね。

 Googleアナリティクスはいろいろなデータが集約されているので、その分いろいろなセグメントに分けることができます。売上目標を達成できなかったとして、新規は増えたけれどリピートが減ったから、という理由が見つかるかもしれません。ではなぜ新規が増えたのか、と分析できます。

 あるいは、売上が下がっている中でスマホユーザーの割合が増えているかもしれません。とすると、なぜスマホユーザーが増えると売上が減るのかを考えられます。サイトのデザインが使いにくいのかもしれませんよね。

 この場合、スマホユーザーのコンバージョン率がページを遷移するごとにどのように下がっているのかを細かく見ていくと、特定のページから離脱している割合が多いことがわかる可能性があります。となれば、まずはそのページを改修しようというアイデアが生まれます。このように、データを分割することで気づきを得る考え方がセグメントですね。

 講座では、これらを実行するためのGoogleアナリティクスの使い方を解説します。この考え方を知らなかった方でも、ワークを行うことで有効性を実感してもらえているようです。

――ワークの前に解説されると思うんですが、受講者の方はすんなり取り組めるものですか?

小川:あまり戸惑っている様子はないですね。あえて難しい問題を入れてもいるんですが、それはチームで取り組んでもらいます。ワークだけでなく、社内でもやはり複数人で取り組むのが大事です。自分以外の視点があることで、気づきを発見しやすいんです。

改善案を考え出す方法とは

――そうして得られた気づきを改善案につなげるには、どんなことを意識すればいいのでしょうか。

小川:改善案をどう考え出すかというと、データから導き出す方法と、同業他社を参考にする方法があります。

 例えば、MarkeZineで10本の記事があるとします。データを分析すると、そのうち5本が会員登録やセミナーの申し込みの多いことがわかりました。もっと会員登録を増やしたいと考えたなら、効果の高い5本と効果の低い5本からそれぞれ共通点を探し出すんです。時事性が高いものか、事例がいいのか、長すぎるとよくないのか、といったいい点と悪い点が見えてきます。そうしたら、次にどんな記事を書いたらいいのかわかりますよね。

 記事の特徴はデータを見れば一目瞭然ですが、逆に言うとデータがないとまったくわかりません。データはユーザーの行動の結果で、嘘はありません。なので、まずはそこから検討するのが重要です。

 同業他社を参考にする方法では、なんとなく比較するのは意味がありません。MarkeZineとほかのメディアを全体的に比べていい点悪い点を見つけよう、と言っても見つからないでしょう。改善したいポイントがはっきりしている状態、つまり仮説を立ててから、同業他社がどうしているのかと比較すべきなんです。

――データを分析するときも改善案を考えるときも、どこに焦点を当てておくかが大事ということなんですね。

小川:そのとおりで、Googleアナリティクスを上から順番に見ていくのは時間の無駄です。自分たちのサイトがどういう状態で、どう改善したいのかを明らかにしておかないと、データを見ても気づきを得られません。

分析、改善、提案をセットでできる人材に

――受講者には講座を通してどれくらいのレベルになってもらいたいですか?

小川:講座は脱初心者を目指す方向けと言えます。分析と改善のための手順や方法をひととおりお伝えするので、このあとは自分でどんどん事例や経験を積み重ねていく段階になります。

 データを分析して気づきを得られるようになることと、いい改善案を出せるか、それを上司やクライアントに提案して実行に移せるか、といったことはまた別です。しかし、分析するならそこまで通して初めて意味を持ちます。

 受講後は、データ分析する際は改善案を作ることとそれを提案することもセットで考えて、自分のアイデアがサイトやコンテンツ制作などに反映されるようになってもらいたいですね。そのスキルが身につけば社内での存在感も増しますし、応用できることがもっと増えていきます。

講座をチェック

Googleアナリティクス実践講座 分析&改善編

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27475