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「広告会社も企業価値創造から考える時代へ」博報堂5人のクリエイティブチーム「TEKO」が誕生した理由

あるプロジェクトで見せつけられた「クリエイティブの力」

大澤:博報堂と組もうと考えられた経緯が気になるのですが、ファンドにもクリエイティブの力が必要だと感じられるきっかけがあったのでしょうか?

立野:ある外食チェーンの企業価値向上のプロジェクトを、博報堂さんとやらせてもらったことがありまして、その時にクリエイティブの力をまざまざと見せつけられました。当時一緒に仕事させてもらったのが、TEKOのCDのひとり、市耒健太郎さんです。

 会社は事業に価値があることが大前提で、価値がない事業は成長しませんし、存続もできません。しかし日々の営業を続けていきながら、経営者の入れ替わりなどが起きてくると、企業価値を100%継承していくのは難しくなります。そんな中で市耒さんには、当事者でさえも忘れていた企業価値を、掘り起こしてもらいました

 そして掘り起こした企業価値を凝縮して、キャッチコピーとして表現してもらいました。コピーは、インパクトがあって記憶されやすいことも大事ですが、その企業で働く人たちの求心力やモチベーションなどが凝縮されていることにこそ意味があると思うんですそのコピーを通して世の中へ伝わる企業価値は、そこで働く価値につながるからです。

 プロジェクトは非常に良い結果に終わりまして、この時に、クリエイティブには企業の価値を向上させる力があると確信ました。ですから、ひとつのプロジェクトで終わらせるのはもったいないと思いました。そこで、「これを再現性のある形で事業にできないか」と10年くらい模索し続けた結果、J-GIAで博報堂さんとのアライアンスを組むことができました。

大澤:JTさんとアライアンスを組むことになった経緯には、どのようなことがあったのでしょうか?

立野:中小企業が成長するために必要なのは、クリエイティブだけでなく、管理側の守りも固める必要があると考えていたので、この部分で協働できる会社もずっと探していました。5~6年くらいかけて色んな方と話をしたんですが、最終的にJTさんと話が合いまして、一緒にやらせていただくことになりました。

「伝える」だけでなく「価値の創造」へ

大澤:情報の量とスピードが拡大するとともに、生活者のリテラシーは格段に向上しています。極端なことを言えば、嘘を言っても1秒後にはネットでバレてしまうような、そんな時代になってきていますよね。

 それでも僕たちは、世の中で一人でもその企業や商品を好きな人がいれば、そこには何等かの価値があるのだと信じて疑わないところがあります。10人のファンは10万人になる可能性があると考えるんですよねですが、ネットが完全に普及した現在では、本当に価値のある要素を見極めて、そこを基点に広告を作る重要性が増していると感じます

立野:博報堂さんは広告代理店ですが、今は「伝える」という部分だけでなくて「そもそも価値があるのか、価値を高めるために何をすれば良いのか」を見極めるところまで求められるようになっているのではないでしょうか。企業の価値を理解し、その価値を短い言葉やビジュアルで企業へフィードバックすることで、価値を向上させる。さらに向上した価値を広告として伝える、というように、これまでの広告会社にはなかった部分がTEKOの皆さんには期待されているのだと思います。

大澤:たしかに「広告代理店が何を提供するべきか」は、我々にとってこれから向かい合うべき命題ですね。

立野:私が前に勤めていたマッキンゼーでは、「バリュー」という言葉を、とてもよく使うんですよ。日常会話の中でも、本当に頻繁に登場するワードです。マッキンゼーは経営コンサルティング会社ですが、最近はマッキンゼーもクリエイティブ関連の外部企業と提携しています。この点を見ても、経営における価値創出にクリエイティブが不可欠な要素となりつつあることがわかります。

 あとは、クリエイティビティが持つ突破力というか、ジャンプ力も注目すべき点です。コンサルティングは改善は得意ですが、クリエイティブが持っているような「改革」する力、ジャンプ力は持ち合わせていません。パラダイムシフトに対応したい時は、クリエイティブが大きな役割を果たすのではないでしょうか。

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27578

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