PRに重要な「魅力度」を高める方法とは
今回の1冊目は、『戦略思考の魅力度ブランディング』です。
同書の編著を行う電通パブリックリレーションズの企業広報戦略研究所は、企業の魅力を可視化する「企業魅力度モデル」というものを構築しています。また、同研究所は企業魅力度調査も行っており、同書では日々の研究、調査結果をもとに各企業が自社の魅力を把握し、それを活かしたブランディング活動を行うヒントを解説しています。
同書を読んで特に納得したのは「ブランド=イメージ×ファクト」という公式です。マス広告が中心だった時代は、一定程度広告でイメージを作り上げることが可能でした。しかし、現在はSNSが普及し、どれだけイメージ訴求をしても、それにともなった製品やサービス、そして企業や従業員に魅力があるというファクトがなければ、すぐに作り上げたイメージは崩れてしまいます。
同書は、この公式にもとづき、自社にある魅力を洗い出す方法から自社の魅力を適切に伝える方法までを細かに説明しているのです。
我々もブランディングに関する事例などの取材を行うことがありますが、どちらかといえばイメージをどのようにして伝えていくかというところに焦点を当てていました。しかし、そもそも企業の持つ魅力に沿わないイメージ訴求は結果的に逆効果ですし、まずは企業の持つファクトをきちんと伝えることが重要だと同書は教えてくれます。
さらに、日清食品やソニーのキーマンにもインタビューを行っており、これらの企業がいかにして自社の魅力をブランディングに活かしているのかといった先行事例についても学ぶことができます。
広報・PRの担当者はもちろん、SNSやオウンドメディア担当者などにもおすすめの1冊となっています。
共感を生む「8×3の法則」とは
続いて、『共感PR 心をくすぐり世の中を動かす最強法則』を紹介します。
同書は、「これからのPRは、売り手主導で、能動的にバズらせることができる(P8より引用)」を前提に、共感を生むPRの方法論を解説した1冊となっています。
同書の中でメインとなるのは、「8×3」の法則です。同法則は新規性や優位性など、自社商品やサービスの強みとなる8つの性質を洗い出し、社会、人、メディアの3つの視点から自社の強みとのマッチングを検証するものです。
一般的にPRをする際は自社の強みを中心に書いてしまう、いわゆる企業視点になりがちです。確かにたくさんのリリースを私も仕事上拝見しますが、企業視点のお知らせにとどまっているものもときどき見受けられます。
同書では、8つの強みの詳細、それらの強みを検証する方法もわかりやすく紹介しており、企業視点から脱却したPRを行うヒントが満載となっています。
今回ご紹介した2冊とも、「自社の持つ魅力・強み」を正確に洗い出していくことの重要性を説いているように思える内容でした。ぜひ両書籍を読んで伝えるべき自社の魅力や強み、そして伝え方のヒントをつかんでみてはいかがでしょうか。