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MarkeZine Day 2018 Autumn

「発見と腹落ちの比率は2:8」パナソニックのデータ分析エバンジェリストが語る広告効果測定で大切なこと

現場が分析結果を活かせるよう準備と伝え方に留意しよう

 この三つの課題を解決する広告効果測定の仕組みを作るため、パナソニックが導入したのが「XICA magellan(サイカマゼラン)」である。明峯氏はマゼランの「階層構造を規定したモデリング」「データ自動連携」「分析からシミュレーションまでがシームレス」という特徴を評価しているという。

 マゼランでは「パス解析」を採用しており、分析者が設定したユーザーストーリーに沿った時系列データを読み込むことができる。したがって、時系列上先にある施策が、続く施策に対してどのような影響を与えているかの相関性を重回帰分析で知ることができる。

 たとえば、「TVCM視聴世帯数」「イベント来場者数」が「Facebook広告クリック数」との間にどの程度相関性があり、それが「リスティング広告クリック数」にどの程度相関し、最終的に「Web購入」「店舗購入」にどう相関しているのかが解釈できるようになるのだ。

 こうして、テレビや雑誌による接触のような、Webよりも先行するコンタクトポイントの売り上げ貢献をフェアに評価できる。しかもDatoramaやTreasure Data CDP、Domoなどと連携ができるので、「仮説設計」「データ収集」「分析」までの分析パートから、分析結果をもとにした「KPI設定」「予算配分」というシミュレーションフェーズの処理まで、一気通貫でできるようになるという。

 このように、マゼランは明峯氏の課題感にうまくフィットしたわけだが、当然のことながら、ツールがすべてを解決することはない。明峯氏は続けて、調査・分析の前後のプロセスにおいて工夫すべきポイントについて解説した。

 調査・分析を行い、無事に結果は得られたものの「当初の分析課題からズレてしまった」「現場のメンバーからの理解が得られなかった」「結果を活用してもらえなかった」という悩みを抱えていないだろうか、と明峯氏は語りかける。

 その場合の原因は、調査・分析の目的を見失っていたり、現場の課題を共有できていなかったり、机上の空論で終わってしまっていたりすることだという。明峯氏は「本来、調査・分析はその後のアクションのためにあります。だからこそ、その前の準備と結果の伝え方に留意する必要があるのです」と解説した。

 準備の段階では、日頃からマーケターの頭の中を理解しておき、関係者一同が会する場を設定して各メンバーの意見を出し切り、要望が追加されて当初の分析目的が曖昧にならないよう決定事項はブラさないことが大切だ。

 分析結果から得られるメリットを事前に共有することで、マーケターに分析のメリットを感じてもらうことも重要となる。そして、意思決定に使うことを前提に、データの粒度を設定することも忘れてはならない。

 特に、細かすぎるデータで分析した結果、施策としては再現しようのない解釈を提出してしまうようでは徒労になってしまう。分析は、過去の振り返りではなく、未来の意思決定をサポートするためのものだということを意識するべきだ。

 伝え方では、「新しい発見の強調」よりも「結果の理解しやすさ」に重きをおくべきなのだという。明峯氏は、「感覚的になりますが、発見と腹落ちの比率は2:8ぐらいが適切だと思います」と話す。

 発見を生かしてもらうためには、相手の信頼を得なくてはならない。だからこそ、現場の肌感覚と一致する内容をしっかりと提示することが大切だ。

 さらに、分析結果をアクションにつなげるために、施策上の提案まで行う重要性も明峯氏は指摘する。「多少現場の意向とズレたとしても、分析結果から導き出した提案を行うことが大切です」と語り、他人事にせずに現場と主体的に関与していくべきだと提言し、講演を締めくくった。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29357

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