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素材・日用品メーカーの3Mが語る、マーケティングオートメーションを活用する4つの鉄則

 BtoB企業ではマーケティングオートメーション(MA)が導入され始め、ツールの利活用に注目されることが増えてきた。だが、ツールを導入する前に組織として体制を整えなければ効果は見込めない。今回は、11月9日に開催したMarkeZine Premium Seminar vol.2より、素材・日用品メーカーのスリーエム ジャパンでBtoBマーケティングに携わる田中訓氏がMAを活用する上で見出した4つの鉄則を紹介する。

※本記事は、定期誌『MarkeZine』のご購読者様は無料でご参加いただける「MarkeZine Premium Seminar vol.2」の講演記事です。

 3Mはアメリカに本社を置く素材・日用品メーカーで、一般消費者向けにテープやふせん、スポンジなどを販売。そのイメージを持っている人も多いかもしれないが、売上の大半はBtoBで、産業分野向けの粘着テープやフィルム製品など幅広い製品を販売している。田中氏は、スリーエム ジャパンでBtoBマーケティングに従事。コーポレートデジタルマーケティング部の部長を務めている。

 田中氏いわく、MAのゴールは「良質なMQLに辿り着くこと」。つまり、マーケティング活動によってリードを創り出すこと。それを営業部門に渡し、商談へと進めてもらうのが同部の仕事だ。営業部門が強い企業だと、どうしてもMQLよりもSQLに注力されがちだと田中氏は言う(SQLとは営業活動によって創り出されたリードのこと)。

 そうした中でBtoBマーケティングによるデマンドジェネレーションを推進してきたのが田中氏。手探りの日々で培ったMA成功の秘訣が、今回紹介する4つの鉄則だという。

田中訓氏"
田中訓氏:スリーエム ジャパン コーポレートデジタルマーケティング部 部長

横断組織の重要性

 3Mは製品開発や販売、マーケティングを行う事業部と、コンサルティングやツール提供、ガバナンスを行うコーポレート部門に分かれている。各地域は部門の上位組織からサポートを得る構造のため、組織を横断してMAを活用するのが難しく、デマンドジェネレーションにも困難を抱えていた。

 特に課題として挙げられたのが、営業部門に多いプロダクトアウトの発想、顧客のリクエストに合わせてスペックインする手法、5万点以上もある製品数および多数のビジネスモデルがあることだった。また、スマホとネットを前提とする購買行動への変化、訪問営業が忌避されるという危機感も抱いていたそうだ。

 こうした状況を変えるために、グローバルで横断組織が設立された。しかし、国ごとの戦略や施策が練りにくく、かえってマーケティングを行いづらくなってしまった。そこで、日本独自のMA専門チームを発足させたのだ。

 MA専門チームが立ち上がったことで、横断組織のメリットを享受できるようになった。さまざまなツールを連携させること、エンゲージメントの全体管理がシンプルになったほか、メルマガの配信も全体で本数を決められるように。以前は同じ人に対して1ヶ月に何本もメルマガを送ってしまっていたそうだが、横断組織化によって1人に月1本までと制限できるようになったという。

 また、MAや関連するツールの使い方を学べる教育プログラムが整備でき、いろいろなフレームワークも充実した。メルマガなどコンテンツを作成する際のアセット管理も全社的に共通化し、管理が容易になった。

 一方で、グローバルの横断組織のためコンタクトリストが膨大になり、さらに日本で独自のスコアリングモデルを使用することができなくなるというデメリットもあった。今は対応策があるそうだが、全社的な横断組織は必ずしもメリットだけがあるわけではない点は押さえておく必要があるだろう。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/30 07:00 https://markezine.jp/article/detail/29720

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