電通の海外本社である電通イージス・ネットワークは、世界59ヵ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」を発表した。今回は、2018年・2019年予測の改定と、2020年の新規予測を行っている。
2018年の成長率、3.9%から4.1%へと上方修正
2018年の世界の広告費成長率は、4.1%(2018年6月の前回予測は3.9%)となる見込み。世界的な経済成長を背景に、2019年も3.8%(前回予測も3.8%)、2020年にも4.3%(新規予測)と、引き続き主にデジタル広告がけん引し、堅調な成長が続くと予測している。
「デジタル広告費」の伸長が続く
世界のデジタル広告費の成長率は、2018年に13.8%(前回予測は12.6%)、2019年に12.0%(同11.3%)、2020年に10.8%と、二桁成長が続く見通しだ。
2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は38.5%となり、初めてテレビ広告費の35.4%を上回ることになる。その割合は2019年には41.4%、2020年には43.8%とさらに伸長していく見通しだ。
なお、予測対象の59ヵ国・地域のうち、2019年には世界最大の広告市場「米国」をはじめとする26ヵ国・地域で、デジタルが媒体別広告費の構成比でトップになると予測している。
スマートスピーカーの普及で「ラジオ」が成長見込み
2019年の総広告費は、初めて6,000億ドルを突破する2018年をさらに上回る、6,250億米ドルとなる見通しだ。
媒体別では、引き続き世界各地でデジタルが市場成長のけん引役に。紙媒体は、新聞が成長率で△7.2%、雑誌が△7.0%と厳しい状況が続く。一方で、デジタル対応設備の普及が進む屋外/交通広告は4.0%、スマートスピーカーの普及効果が見られるラジオでも1.1%の成長が見込まれ、こうした傾向は2020年も続く見通しだ。
消費増税・東京五輪の影響は? 日本の広告市場予測
日本の広告市場は、2018年に続き、2019年も1%未満の低成長が続く見通しだ。2018年は大型スポーツイベントによる広告市場へのプラス効果もあったが、度重なる自然災害などで広告活動を控える動きが広がったことや、将来不安の高まりから消費活動が停滞した。
2019年は消費増税もあることから、広告費予測のベースとなるマクロ経済指標にも減退の傾向が見られる。2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、広告市場の成長率は2.4%へと回復する見通しだ。
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