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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

「常に1万人規模の熱狂を」満員御礼が続く千葉ジェッツのマーケティングに迫る

満員御礼に導いたマーケティング施策とは

MZ:では、実際に行った施策について、千葉ジェッツのデジタルマーケティングを支援している平地さんにお伺いします。

平地:Bリーグの発足前から、前回記事のレバンガ北海道さん同様、LPを制作してデジタル広告で集客を行っていました(詳細はこちら)。それに加え、千葉ジェッツさんは僕らと取り組みを始めた当初から、試合中に流す映像の制作などにも力を入れていました。次シーズンからは最速でハイライト動画の配信を行い、YouTube上のコンテンツ制作にも注力し、SNSにたくさんのコンテンツを展開するなど、ファンを飽きさせない仕組みを構築されていました。

株式会社プラスクラス 代表取締役 平地大樹氏

 Webコンサルティング会社プラスクラス代表。プロバスケ選手引退後、人材業界を経験し、Web業界へ。営業活動一切ナシのWebコンサル事業をプラスクラスとして収益化し、現在はプラスクラス・スポーツ・インキュベーション代表として、スポーツ界にWeb/ITを取り入れることを推進している。

 スポーツビジネスで欠かせないのは、コンテンツの活用です。昨今、動画マーケティングの浸透が進んでいますが、ことスポーツビジネスでは取り組みが遅れています。特にBリーグのチームの多くは、資金の問題もありボランティアやお手伝いの方が映像や写真を撮っていることが多く、はっきり言ってクオリティが高い、とは言えない状況です。

 しかし、千葉ジェッツさんの場合は、早い段階からきちんとプロに頼むことでコンテンツの持つ力を最大限に引き上げようとしていました。結果、ファンとのエンゲージメントも高まり、集客にも貢献していたというのが今の結果を導き出してると思います。

MZ:スポーツの持つコンテンツ力を、最大限に活用したわけですね。平地さんは、千葉ジェッツさんが満員御礼の状態まで持ってくることのできた要因について、どのように考えていますか。

平地:島田さんを中心に素早い意思決定を行ってきた点だと考えています。島田さんに初め集客の提案をした際も、即決で採用いただきました。マーケティングに関わらず、素早く意思決定をし、実直に行動してきたことが大きな成果に結びついていると思います。

コンテンツは二度おいしくできる

MZ:島田さんはなぜ、コンテンツ制作に力を入れようと考えたのでしょうか。

島田:集客やファンとの関係構築に役立てるのはもちろんですが、興業のないオフシーズンにも、ファンとの接点を作りたかったからです。練習や選手一同での旅行など、プライベートな一面を見せることで、ファンとの距離を縮められると考えました。

 実際、YouTubeのチャンネル登録数は現在(2018年2月時点)22,000を超えており、野球やサッカーのプロチームにも負けないくらいの数字となっています。さらに、YouTubeの動画にスポンサーを付けることで、そこからも利益が生まれています。

MZ:集客・ファンとのエンゲージメント強化だけでなく、収益を得るためにも取り組んでいるのですね。

島田:他にも、年間100万枚ほどチラシを行政と連携して小学校に配布していますが、そこにもスポンサーをつけています。ここで重要なのは、「一度に二度おいしくできないか?」と考えることです。チラシやYouTubeの動画といったコンテンツも、形を変えれば利益を生むことができます。

 マーケティング部門はコストセンターに見られがちですが、こういった収益の仕組みを考えることでプロフィットセンターにすることも可能です。スポーツだけに限らず、ビジネスにおいての商品設計、サービスの中身を決める上で重要なことだと思っています。

満員御礼から顧客単価向上へ

MZ:これまでのお話で利益が生み出せる環境が整い、集客も上手くいっているのがわかりました。その中で、2018-19シーズンからポイントシステムを導入されましたね。その背景を教えてください。

島田:きっかけは、今シーズンから飲食を自前でやるようになったことからでした。これまでは、年間で飲食を提供するスペースを貸し出すことで、少ないリスクで収益を得ていましたが、我々の提供したい飲食サービスとのギャップが生まれていました。そこで自社で運営することにしたのです。

 これにより、チケッティング、マーチャンダイジング、ファンクラブ、飲食のすべてを自前で整えることになりました。その時、すべての売上に寄与できる仕組みはないかと考えた結果、ポイントシステムの導入に至ったのです。

 また、ファンクラブ特典に高いポイントを追加することで、ファンクラブの会員増加、さらにポイント会員のデータをもとにしたマーケティングを実現するといった狙いもあります。

ポイントシステムの仕組み

MZ:売上全体の底上げを狙ったということですね。ポイントは何に使えるのでしょうか。

島田:現在は、選手との記念撮影やオフシーズンのパーティーの招待券、選手のサイン入り色紙など千葉ジェッツならではの体験・プレゼントを提供しています。

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ポイントシステムがもたらした成果は?

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30407

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