ポイントシステムがもたらした成果は?
MZ:ポイントシステムを導入して、得られた成果についても教えてください。
島田:ファンクラブ会員数はもちろん、マーチャンダイジング、飲食の収益も増えました。そして何より、多くのデータが集まったことで、顧客分析のできる基盤が整った点が大きな成果ですね。2017-18シーズンに比べると、ファンクラブの収益は倍近くとなっています。

MZ:ポイントシステムという基盤の上で顧客体験を提供しているんですね。このような仕組み作りは、平地さんから見ていかがですか?
平地:プロスポーツチームのマーケティングにおいて重要なのは、オンラインとオフラインを統合して考えることです。チケットはオンラインで買いますが、グッズはオフライン=会場で購入意欲が高まります。また、飲食については会場でなければ体験できない。この中で起きやすいのが、オフラインでグッズやフードを購入をしてくれた人が「ファンクラブの人なのか?」「初めて来た人なのか?」を計測できない状態のまま、日々の興行を実施するということです。現在、このようなチームは非常に多いと思います。
ポイントシステム自体は画期的ではなく、一般企業でもよく導入される、いわば鉄板の施策と言えます。それを千葉ジェッツさんはプロスポーツチームの中で早々に取り入れた、ということだけなんです。その判断は素晴らしいですよね。
これだけ効果があるのだから、他のチームもぜひともやるべきだと思います。お客様は会場に足を運んでモチベーションの上がっているタイミングですから、飲食やグッズに対する興味・関心も高まる。そこに対してポイントシステムがあることで、お客様がサービスを体験する後押しにも確実になっているはずです。逆に、「他のところはなぜ取り組まないんですかね?」という疑問しかありません。
島田:このような仕組みを導入するには、ある程度のスケールまで成長させる必要があるからでしょうね。千葉ジェッツでは、演出にも大きく投資していますが、現状の集客数の半分だったら絶対やっていません。各チームで集客状況は異なるので、それに合わせた施策が当然ながら求められると思います。その見極めがクラブの経営にも直結しますね。
1万人規模の熱狂を作る
MZ:最後に、お2人から今後の千葉ジェッツの展望についてお話しいただけますか?
平地:これまでご支援してきた部分は、これまで以上に良い成果が出るよう、引き続き実施させていただきます。チケッティングやポイントシステムのLPだけでなく、ウェブサイトの改善やスポンサー営業に対するBtoBのデジタルマーケティングについてもご支援していきたいな、と考えています。
弊社でBリーグの様々なチームを支援していることもあり、「Bリーグの試合はどこを観たらいいですか?」とよく聞かれます。その際、興行として一番おもしろいのは千葉ジェッツと常にお伝えしています。それだけお客様を意識した施策を徹底しているチームだと思うので、スポーツビジネスに関わる・関わりたい人は一度は観に来ることをおすすめします。
そして、そういった質問の際に、千葉ジェッツさん以外もオススメできるようなチームを増やすこと。これが僕の次の大きな課題だと思っています。そこに対して全力で取り組んでいきたいと思っていますね。
島田:一つの目標はアリーナの規模拡大です。現状は約5000人で満員御礼となっていますが、いずれは1万人規模のアリーナを作ることも視野に入れています。その目標が達成された先には、動画配信やパブリックビューイングなどを駆使して試合を観戦できる最大公約数を増やしていきたいです。
私は「1万人ぐらいのアリーナは、箱として小さい」と考えています。Jリーグやプロ野球などはより多くの人を熱狂させている。バスケットにもそれだけの力があるので、常に1万人近い熱狂の渦を作るのはもちろん、その先を当然目指していくべきです。
現在は、そのために必要な売上とその構成比を考えています。そのためのチャレンジをチーム・フロントで取り組んでいきたいですね。
MZ:満員御礼の現状に満足せず、その先を目指した投資を続ける千葉ジェッツさんのマーケティングから、非常に多くのことが学ぶことができました。島田さん、ありがとうございました!
