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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

「常に1万人規模の熱狂を」満員御礼が続く千葉ジェッツのマーケティングに迫る

 プラスクラスの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は満員御礼の状態が続き、天皇杯も3連覇するなど好調のBリーグB1東地区に所属するプロバスケットボールチームである千葉ジェッツの代表である島田氏に話を聞きました。

スポーツチームと一般企業は変わらない

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は現在満員御礼状態が続き、Bリーグの中でも圧倒的な集客を誇るチームである千葉ジェッツのCEO島田さんにお話を伺います。まず、現状に至るまでにどのような施策を行ってきたのでしょうか?

株式会社千葉ジェッツふなばし 代表取締役社長 島田 慎二氏

 千葉ジェッツの経営を担っている。現在は「脱・島田」をコンセプトにスタッフ自らが考え行動するための仕組み作りに尽力している。

島田:具体的な施策の説明は支援いただいた平地さんのほうが詳しいので、私は経営目線でのお話をさせてください。まず、最初に行ったのは組織を戦える集団にするということです。会社のアイデンティティに合わせた組織作り、人材育成やチームの理念形成などを行いました。

MZ:デジタルマーケティングの施策などを行う以前に、経営とチームの状況を整えたということですね。

島田:千葉ジェッツの強みはフロント・チームのベクトルが揃っていることです。選手も自分のチームの持つ理念をはっきりと理解しています。力量がどうであれ、ベクトルが揃うことで力が集まり、組織としての競争優位性が出てくると思っています。この前提があってこそ、マーケティングの仕組みも回るはずです。

 「スポーツビジネスは特殊だ」と思われる方も多いと思いますが、一般企業の行うビジネスとなんら変わりません。チーム・フロントが一丸となり利益を出し、そこから様々なところに投資をしてPDCAサイクルを回しているのです。

興行の商品価値を徹底的に高める

MZ:スポーツビジネスを特殊なものと捉えず、一般的なビジネスに置き換えて考えているのですね。

島田:その通りです。我々は興行も商品と見ていますが、チームが勝つ負けるだけではなく、そのクオリティを極限まで高めるにはどうするべきか考えています。我々は「不良品ゼロ運動」と呼んでいますが、毎試合ごとにクレームやミスなどがないかを振り返っています。そうすることで、生産性と顧客満足度を上げています。これは、工場などでも取り入れられている仕組みを採用しています。

MZ:興行を一つの商品に見立て、改善する仕組みも用意して、より良いものにしているんですね。

島田:スポーツビジネスにおいて一番重要な商品は興行です。良い興行にはチーム自体の魅力はもちろん、ホスピタリティ、エンターテインメント性、飲食のクオリティ、会場の明るさ、アクセスの良さ、チケットの買いやすさなど様々な要素が求められます。それが揃っていくことで、集客力につながります。

 我々は、そのための投資を積極的に行ってきました。他のチームであれば「すぐ儲からない」とやめてしまうことであってもです。たとえば、スマホから飲食をオーダーできるシステムを導入しましたが、それ自体の費用対効果は低い。しかし、長い目で見てお客様が喜んでくれるのであれば、投資すべきと考えています。

MZ:そこまで積極的に投資ができるのはなぜでしょうか。

島田:それは利益が出ているからです。今は経営状況も非常に良くなってきており、いろいろな仕掛けができます。来年に予定していたが、前倒しで投資している施策もあります。

MZ:デジタルマーケティングでの集客も積極的に行ったと聞いていますが、そこも利益が出せているからこそ取り組めているわけですね。

島田:その通りです。また、デジタル関連の投資を他チームよりも早くやるメリットとして、新しい情報が入ってきやすくなる点が挙げられます。千葉ジェッツとなら新しいチャレンジができると、様々な企業が提案をくれるようになるんです。私はその中で最新動向をキャッチアップし、おもしろいものには即投資しようと決めています。

 そして「ジェッツが新しいことやってる」と人が集まってきて、好循環が生まれていく。これを徹底してきました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30407

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