記事広告からの動画視聴率は約5%
――ネット上で『UCC BLACK SHOW』が話題になった理由は何でしょうか?
吉川:WebサイトやSNS上で動画を配信したところ、ありがたいことに多くの方にイジっていただいたり、ツッコんでいただいたりすることができました。こうしたネットでの口コミが拡散につながったのだと思います。
加えて、より多くの方に見ていただけるように、SNS上での意見をキュレートするサービス「Togetter(トゥギャッター)」内で記事広告を出稿しました。この他にもいくつかのメディアに記事広告を出稿することで、多くの方に興味を持っていただき、結果として話題化を果たすことができたのではないかと考えています。
記事広告の出稿にあたっては、今回の企画の雰囲気に適していて、かつ内容をイジりながら紹介していただけるメディアやSNSとの親和性が高いメディアを中心に選定させていただきました。こうした取り組みがきっかけで取材のご依頼をいただき、『デイリースポーツオンライン』で取り上げていただくこともできました。
――ネットで話題になる前と後でどういった変化がありましたか?
吉川:2パターンの動画の累計再生回数で見ると、通常の動画広告と比べて約3~4倍となり、2019年3月時点での再生回数は400万を突破しています。また、記事広告を出稿したことで、特設ページへのアクセスも約6倍にまで上昇。話題になった後ではSNS上での関連ツイート数も約1.4倍に増え、好意的な口コミが数多く寄せられました。
――記事広告からの流入はどの程度あったのでしょうか?
吉川:記事広告からの動画再生は、全体の5%ほどです。当初は記事広告の出稿は考えていなかったのですが、好意的な反応をたくさんいただいていたため、そういった声をフックに再度話題化できるよう、記事広告の出稿を決めました。
――『UCC BLACK SHOW』ではどういったターゲット層を見据えていたのでしょうか?
吉川:Web上での配信を前提として考えていましたので、ターゲット層はスマホネイティブ世代を想定していました。その結果、20~30代前半のユーザーから支持をいただくことができました。今回は、こうしたターゲット層の発信力が、「ツッコミどころを残した動画」というコンセプトにマッチしたのだと思います。
動画内で完結させないことが話題化に寄与
――『UCC BLACK SHOW』を見たユーザーからの反応は、「動画のネタにツッコむ」以外にどういったものがありましたか?
吉川:動画の中にある電話番号に実際に電話をかけていただいたり、その電話でお伝えしたサイトにアクセスしていただいたりしました(※電話での対応は既に終了)。
実は、その電話でお伝えしていたのは動画に登場したジムの隠れページのリンクなのですが、キャリーの隠れページもあるのではないかと探された方もいらっしゃいました(笑)。こうやって、興味を持っていただけるのは、すごく嬉しいことですね。

――MarkeZin読者の方々に向けて何かアドバイスをいただけますか?
吉川:既に施策が話題になっているのであれば、そこに乗っかることもひとつの手かと思います。話題化されているという事実をもとに、さらにそれを取り上げてもらえるメディアへ広告を出稿するというのが今回の取り組みでした。
また、ネットでの話題喚起については、今回で言えば動画内で完結させるのではなく、「ツッコミどころ」を残したことが良かったのではないかと考えています。これによって、SNS上で反応していただいたり、誰かにシェアしていただいたりと、ユーザーの自発的なアクションを促進することができました。
その他には、時流などによっても世間での反応は変わってくるかと思いますので、ネット上の文脈を読み取って、ユーザーに寄り添った形で伝えることが大事だと思います。
――どうもありがとうございました。
人間が持つ「喜怒哀楽」の中では、喜ばせる・怒らせる・泣かせるというのは比較的簡単で、楽しませたり笑わせたりするのが最も難しいと言われています。ユーザーを笑わせることができる動画は数多く公開されていますが、その多くは自然発生的なものや、偶発的な要因に頼ったものが多い印象です。今回の『UCC BLACK SHOW』のように、多くのユーザーの反応を呼び込めるよう計算した上で、意図的に笑いへと昇華できた動画施策の例はそれほど多くないのではないでしょうか。数百万という再生回数につながった背景には、こうした存在価値自体の希少性の高さも関係しているのかなと思います。