BtoC特化MA「Responsys」に新機能
オラクル社が提供するマーケティング製品は、CX Cloudと総称され、その中にMarketing CloudやCommerce Cloud、Engagement Cloud(旧Sales Cloud)、Service Cloudと呼ばれる製品群が存在する。Marketing CloudとSalesCloudを横断する製品としてBtoB特化のMA「Eloqua」があり、同じくMarketing Cloudに含まれBtoCに特化しているMAが本稿で紹介する「Responsys」である。また分析/ビジュアライズなどを行う「Infinity」や、初日のキーノートで発表された顧客データプラットフォーム「CX Unity」はCX Cloud全体と統合されている。
「The Customer Experience Is Your Competitive Weapon(顧客体験はあなたの競争の武器になる)」と題したBtoCマーケティングのジェネラルセッションでは、BtoC領域のVPであるTony Castiglioni氏が登壇。Oracle Marketing Cloudとして「Connected Data」「Connected Intelligence」「Connected Experience」という3つの戦略を発表し、「Responsys」のアップデートについて共有した。
「ある調査によると企業のマーケティング組織の実に51%が20以上のツールに依存している」とTony氏。チャネルによって異なるツールを使用することによってデータが散在してしまっていることに警鐘を鳴らした。Tony氏は、マーケターとして成功を収めるために重要な最初のステップが「データファーストなアプローチ」であると述べた。そうすれば、競合より顧客への理解を深め、すべてのチャネルで一貫性のあるコミュニケーションをとることができ、より顧客に関連性の高い経験を提供することができるというわけだ。
「データファースト」を実現するひとつの機能として、「CX Audience」を紹介。CX AudienceはCX Unityの前身で、Responsysと連携できる顧客データプラットフォームだ。顧客の属性情報にデジタルでの購買情報やオフラインにおける行動データ、さらに3rdパーティデータなどを紐づけることができ、キャンペーンのためのセグメント作成や顧客分析までがCX Audience上で可能だ。また分析アプリケーション「Infinity」と併用すれば、作られたセグメントとメッセージの配信結果をさらに分析し、ターゲットセグメントの見直しを行える。
「これらのサービスを使って、リターゲティング検証を行ったのですが、ユニークのCTRが2倍、CVRが6倍になり、メールからの購入額が6倍に増えたことによって、平均注文額が16%上昇しました。データファーストな姿勢をとらなかった場合、このような効果を得ることはできない可能性があります」(Tony氏)
多くのデータを持てば持つほど、判断を下すことが難しくなる時代である一方、顧客の購入量や消費金額は増えているというTony氏。そこで重要になってくるのは競合との差別化であり、差別化に必要なのは顧客体験のパーソナライズ化で、それを実現するResponsysのいくつかの新機能を発表した。
ひとつは、「Product Recommender」というレコメンド機能である。顧客の求める製品を自動で最適化しレコメンドすることが可能になるので、顧客のニーズに応えながらも、マーケターは戦略を考えることに注力できるようになる。
次に、「RFM Dashboard」。RFMとは、「Recency」「Frequency」「Monetary」の頭文字で、一定期間における「最近の購入日」「購入の頻度」「購入の金額」を意味している。このダッシュボードによって、自社に最適な顧客を見極めることができるため、ターゲティングやセグメント、コンテンツのだし分けなどに活かすことができる。
それ以外にもキャンペーンの作成の労力を最小限に抑える「Campaigine Designer」や一目でキャンペーンの結果がわかる「Homepage」などの新機能も発表。リアルタイムの顧客体験を改良するために、マーケターの作業時間を効率化するという思想の機能が充実し始めた。
今後の展開として、「Responsys」とA/Bテストツール「Maximaisar」の統合を進めているということも発表。2製品の統合により、ウェブサイトとメールの両方で顧客は一貫したサービスを受けることができるようになるという。