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ビッグデータ時代に必要なマーケティングの本質とは【花王廣澤氏×フェイスブックジャパン中村氏】

2019/05/13 09:00

 花王のマーケター・廣澤祐氏が、業界で活躍するキーパーソンたちと対談する本連載。今回は、マーケターとデータの付き合い方を探っていく。対談ゲストに、フェイスブックジャパンにて、マーケティングサイエンス日本統括を務める中村淳一氏を迎えた。前職のP&Gでは、消費者・市場戦略本部日本代表として活躍し、データと長い間向き合ってきた同氏。まず廣澤氏は、「データの変化」について尋ねた。

目次

ビッグデータが登場しても変わらないこと

廣澤:中村さんはデータに精通したマーケターとして、20年近いキャリアをお持ちだと思います。その間に、データを取り巻く環境は大きく変わりましたが、取り扱うデータにも変化が起きていると感じますか?

左:花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏右:
左:花王 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏
右:フェイスブックジャパン 執行役員 マーケティングサイエンス日本統括 中村 淳一氏

中村:そうですね。通信や処理速度がインフラの技術革新を通じて大きく進化し、多種多様のデータがリアルタイムかつ大量に存在するようになったと思います。いわゆる、ビッグデータの登場です。

 一方で変わらない点もあります。それはデータ分析の存在意義です。分析からビジネスの成果につながるインサイトを見つけ、ビジネスプランの考案や意思決定をするためにデータ分析は行われてきました。つまり、売上と利益につながらなければデータ分析をする意味がありません。その幹とも言える部分は変わらず、ビッグデータによって枝葉が増えているのが現状だと思います。

3Cで見た、マーケティングの変化

廣澤:データ分析を行う目的というのはずっと変わっていないということですね。マーケティングの環境や実務に関してはどのように変化したと思いますか。

中村:わかりやすいように、マーケターであれば誰でも知っている3Cに置き換えて考えると、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)すべてに変化が起きていると思いますね。

 Customer(顧客)に関してはスマホの登場で可処分時間の使い方が劇的に変わりました。そのため、企業は1秒単位で顧客に振り向いてもらえるよう、マーケティング活動を行うようになったと思います。

 また、新商品の情報収集がテレビCMを中心に行われていた時代は、顧客側が他に情報を得る手段がなく、企業と顧客の間に商品についての情報格差がありました。ですが、今はインターネットで気軽に情報収集ができるので、顧客のほうが詳しいケースもあります。以上2つの変化を前提に、マーケティングについて考える必要があると思います。

 Company(自社)は、リアルタイムでビッグデータを収集できることで、PDCAサイクルを高速に回せるようになったのが大きな変化だと思います。消費者調査を頻繁に行うことは金額的にも難しかったため、昔は1年に1〜4回の頻度でビジネスレビューをし、アクションをとっていたはずです。しかし今は毎週、企業によってはデイリーでPDCAを回しているケースもあります。

 また、個人的な意見ですが、かつてはそういった消費者調査のデータを持っていること自体が他社とのマーケティング戦略の差別化要因になり、企業にとってアドバンテージでした。しかし現代では、誰もがデータを収集しやすい環境にあるので、そこでの差別化は難しくなってきたように思えます。

廣澤:競合に関してはいかがでしょうか。

中村:Competitor(競合)が一番おもしろいと感じています。前は競合といえば、多くが同じようなビジネスモデル同士での戦いだったのに対し、現在は異なるビジネスモデルの競合が多くなってきたと思います。たとえば、自動車業界にMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の概念が登場したり、Uberなどの企業が参入したり。競合の設計の仕方についても考え直す必要がありますね。

 しかし、データ分析と同様にマーケティングの本質、マーケターに求められる役割というのは変わっていないと考えています。会社が保持する経営資源をうまく分配して、売上と利益を上げていくことがマーケティングの本質です。

 そして、基本のWho(誰に)・What(何を)・How(どうやって)を考えるというマーケティングのフレームワークも変わりません。Howの手法やPDCAサイクルを回す速度に変化はありますが、「どんなターゲットに、何のメッセージをどういった手法で伝えるか」ということは変わっていないのです。

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