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BtoBマーケ虎の巻

「天才マーケターがいるかどうか」では決まらない!BtoBマーケの成否を分ける要因


残る2つのカギは「顧客理解」と「費用対効果」

乗り越え方4:顧客理解の解像度を上げる

 チームを作って取り組みを始めた直後によくある落とし穴として、「顧客に対する理解が乏しく、戦略や施策を立てようとしても、アイデアが出にくい」ということがある。そんな時は、会議室の中だけで議論したり、PCの前に座ってダッシュボードを眺めたりするよりも、実際に顧客に会いに行ってしまうのがお勧めだ。

顧客へのヒアリング項目の例
顧客へのヒアリング項目の例

 営業商談や既存顧客フォローの打ち合わせに同席させてもらい、「いつ自社製品を知ったのか」「なぜ競合ではなく、自社の製品を選んだのか」「利用する中で、気になっていることがないか」などを尋ねると良い。

 それ以外にも、

・カスタマーサポートをしてみる
・営業/カスタマーサポート/広報チームと情報交換
・展示会で呼び込み、説明
・ユーザー会、クローズド勉強会の開催
・問い合わせやサポートのメール・チャットを閲覧
・外部の信頼できるマーケターにアドバイスをもらう

 なども、顧客への理解を深めるために有効だ。

 これらの取り組みを日常的に実践しているBtoBマーケターは10人に1人もいないので、やり切ることができれば、他社に大きく差をつけられる

乗り越え方5:すべての施策でROIを合わせようとしない

 最後に注意したいのが「全ての施策で費用対効果を合わせようとすること」である。

 目標とするCPAやCACに対して、実施しようとしているマーケティング施策がどれぐらいの費用対効果を見込めるのかを計算することはもちろん大切だ。ただし、社内に知見とデータが少ない状態では、どれぐらいのCPAやCACになるか、また、中長期でどんな成果が得られるのか、やってみないとわからない部分も多い

 マイクロソフトが行った、こんな実験がある(Online Experimentation at Microsoft)。自社のWebサイトとWebサービスで生まれたアイデアについて、1万件のABテストを実行して調べてみた。すると、3分の1が肯定的な結果につながり、3分の1は無意味で、残りの3分の1は逆効果だったことが明らかになった。

成功の背後にも膨大な試行錯誤がある
成功の背後にも膨大な試行錯誤がある

 私たちはつい「打ち手のほとんどが成果を生む」という前提で考えてしまいがちだが、残念ながらまったくそんなことはなく、マイクロソフトのようなとても賢い人たちが取り組んでも、成功するのは3分の1という割合なのである。

 それならば、単純計算で、自分たちが思う3倍の量の打ち手が前提として必要になる。

 当社で関わらせていただく会社の中でも、「とりあえず、筋の良さそうな施策をいくつか試してみて、どの施策はうまくいって、どの施策がうまくいかなかったのかを知りたい」というスタンスで取り組んでいるところは、マーケティングがうまくいっている傾向がある。

 端から見ていると、最終的な成果や成功例しかわからないため、「百発百中のマーケティング」が存在するように思えてしまうが、特にマーケティング強化の取り組みの初期段階では、組織に知見とデータを溜めるために、意識的にトライの数を増やすようにしたい。

BtoBマーケに強い会社になるために

 今回は、BtoBマーケティングが強い会社は、弱い会社と比べて「打ち手の数が多い」という観点から、打ち手の数を最大化して、途中で挫折することなく成果を出すためのメソッドを紹介した。

乗り越え方1:意思決定者(経営層、上長)が十分にコミットする
乗り越え方2:専任のマーケティング担当者を置く
乗り越え方3:外部からBtoBマーケティングの知見を取り入れる
乗り越え方4:顧客理解の解像度を上げる
乗り越え方5:すべての施策でROIを合わせようとしない

 これらを一つずつ乗り越えるたびに、マーケティング活動で成果を出すのはぐっと簡単になる。ぜひ「マーケティングに強い会社」になるために、自社の実行力に磨きをかけて欲しい。

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この記事の著者

栗原 康太(クリハラ コウタ)

1988年生まれ、東京大学文学部行動文化学科社会心理学専修課程卒業。 2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げ、経営者・事業責任者の想いの実現を加速させる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。 アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。 Twitterアカウント(https://twitter.com/kotakurihara) | Facebookアカウント(https://www.facebook.com/kota.kurihara)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/05 15:26 https://markezine.jp/article/detail/30756

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