「社員クチコミ図書館」について
就職・転職のための情報プラットフォーム「OpenWork(旧Vorkers)」を展開するオープンワークは、2019年5月27日から6月2日まで、新宿駅 メトロプロムナードに、働きがいのある企業100社の社員クチコミを読むことができる本を展示し「社員クチコミ図書館」を展開。初日は約2,400人、一週間の開催期間中には約32,000人が来場した。
合わせて都内主要駅の駅構内やホームビジョン、JR・東京メトロなどの電車内で広告プロモーションを展開したほか、NewsPicksなどの経済メディアにも特集記事や広告を掲載した。
初めてのマス広告、その設計とKPIは?
株式会社オープンワーク 戦略担当ディレクター 北野唯我氏
博報堂の経営企画局・経理財務局、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリア最高戦略責任者・執行役員に就任。2019年5月からは、オープンワークの戦略担当ディレクターも兼務する。著書に『転職の思考法』(ダイヤモンド社)、『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)。
――はじめに今回のキャンペーンの目的を教えてください。
北野:一つは新規層へのリーチです。これまで仕事や職場に関するクチコミを検索するという行動をとったことがなく、「OpenWork」に出会ったことのない人にも認知を広げたいと考えたため、ベンチャー企業であるオープンワークでは初めて、マス広告という手段をとることにしました。
もう一つは「社名変更」を認知してもらうこと。旧名の「Vorkers」は「Voice of Workers」の略なのですが、音も意味も直感的にわかりづらい。玄人向けだったサービスをより幅広い層に届けていくためには、社名変更が必要だという話になりました。
そのため単に広告を打つのではなく、オープンワークという社名を覚えてもらい、その世界観を理解してもらえるような仕掛けのあるキャンペーンを目指しました。
――サービスとして新しいフェーズに入っていくためのキャンペーンであり、社名変更だったのですね。効果測定はどのように行われたのですか?
北野:キャンペーン全体のKPIは指名検索数です。SEOに頼るのではなく、「オープンワークが好き」「オープンワークのサービスが良い」と思ってアクセスしてもらうことが重要だったからです。
そのため、「社名 クチコミ」で検索してたどり着くのではなく、「社名 オープンワーク」「オープンワーク クチコミ」などと検索してもらうことを目指しました。結果的に、全体の指名検索数は目標値の125%を達成しました。成功ですね。
――キャンペーン全体の戦略について、もう少し詳しくお聞かせください。
北野:今回は、「象徴的施策」と「刈り取り広告」の二つの軸で展開しました。象徴的施策が「社員クチコミ図書館」というOOHの企画。これに連動して、電車内での広告や経済メディアの特集などで刈り取りを行うという設計です。
戦略策定のときにイメージしていたのは、「ダイソン」や「RIZAP(ライザップ)」のマーケティングでした。掃除機もダイエットも既に世の中に存在しているものですが、クオリティの高さを筆頭に、他のものとは明らかに違う価値をもっている。それをクリエイティブでうまく表現できているため、人々に受け入れられているのです。
「OpenWork」も同じです。類似のサイトが多々ある中でクチコミのクオリティが圧倒的に高く、そこがコアバリューだと考えています。ところがこの価値は、使ってもらうことができなければ、なかなか伝わりづらい。
それならば、「OpenWork」のほうから出張し、使ってほしい人がたくさんいる場所に出よう。サービスを体感してもらえるクリエイティブを展開しようと決めたのです。