「広告代理店」ではなく「マーケティング代理店」
――ずばりアクセンチュア インタラクティブと大手広告代理店との違いはどこにあるのでしょうか。
我々は、いわば広告代理店ではなくマーケティング全体、広義のマーケティング代理店ですので、当然支援できる範囲が広くなります。コミュニケーション領域だけではなく、組織、業務プロセス、システムの視点からも企業を支援できます。
たとえば、セキュリティを担保しながら、複数の部署が共通して閲覧できるようなシステムを作るような支援もできます。システム、戦略、業務コンサルの領域ではアクセンチュアのコンサルチームと連携して進めます。
もう一つの大きな違いは、トップダウンのアプローチがとれる点です。広告代理店はマーケティング部門の現場レベルとボトムアップで施策を作り上げていくケースが多いと思いますが、我々は企業の経営陣に対して「マーケティングはこうあるべき」という話から入らせて頂くことが多いです。
これに加えて、メディアやソリューションに中立的な立場であるため、支援内容が広告ビジネスに限定されません。たとえば、広告を打つよりもサービス開発に力を入れるべきであるといった、常にあるべき姿、とるべき方針の観点から提案をさせて頂いています。
成功しづらい横串マーケティング組織を業務プロセス定義で支援
――マーケティング部門の仕事のあり方や組織改革を支援した事例をお聞かせください。
あるメーカーでは、デジタルマーケティング組織のあり方を再定義するのを支援しました。
デジタルマーケティング部門を立ち上げても、社内で存在感を得られていないというケースは実は数多くあります。これまでは各事業部が個別に代理店と契約してデジタルマーケティングを展開してきたので、横串のデジタルマーケティング部門を立ち上げても事業部や商品部にあまり頼ってもらえないわけです。
あるいは、事業部のデジタルスキルが弱すぎてデジタルマーケティングの知識がない場合は、逆にデジタルマーケティング部を頼りすぎ、デジタルマーケティング部門が個別の対応に追われて力を発揮できなくなります。どちらにしても、横串組織の意味がなくなってしまいます。
とあるメーカー様の場合は、事業部のデジタルマーケティング能力が弱いケースでした。本来であれば、デジタルマーケティング部が様々な技術やツールを事業部に提案するはずが、事業部門からの細々とした相談が押し寄せてしまい、組織設計から始める必要がありました。現状を把握してどこにボトルネックがあるのかを調べ、ボトルネックを解放するにはどのようなスキルの人が何人必要なのかといったことを定義させて頂きました。
このプロジェクトの効果創出に大きく貢献したのが、業務プロセスの定義でした。事業部からどんな依頼が来ているのか、依頼している人のレベルはどのぐらいなのか、それに対応するにはどんな人を入れればよいのか、を整理したのです。人を入れただけではパンクしますから、実際に仕事をさばいていくにはどういうプロセスにすべきかも考えました。
別の事例では、事業部でデジタルマーケティングを実施していたが、Webマーケティングを進める中でPDCAサイクルの確立と改善が課題になりました。そこで我々がその事業部と広告運用の委託先企業との間に入り、“デジタル翻訳”という役回りでKGIの設定、それを回すためのPDCAサイクルの構築を進めました。
コラボレーション主導型CMOを全方位で支援
――全社的で包括的なマーケティングを網羅的に支援できるのがアクセンチュア インタラクティブの強みですね。
そうですね。この強みを存分に発揮するために、包括的マーケティングサービス支援として「Unified Marketing & Sales」の提供を始めました。これは、チャネルと部門のカベによって断絶している企業内のマーケティング・セールス活動を、経営のKPIとつなげ、一貫性を保ち、持続的な売り上げ拡大に直接寄与するスキームを構築・提供するというものです。
戦略立案から、施策実行、組織変革、プロセス設計、プラットフォーム構築まで、デジタルマーケティング活動に関わる全方位をカバーするプログラムになっており、コンサルティング、エージェンシー、システムインテグレーター、アウトソーサーの機能を備えたアクセンチュアならではのサービスだと自負しています。