行動変容の測定を得意とするのがインターネット広告
インターネット広告は、インプレッション数(配信数)とクリック数およびクリック率が媒体社から報告される。また、広告トラッキングツールを使用すれば、クリック後の資料請求や購買といったコンバージョンの有無まで測定できる。したがって、インターネット広告は広告効果を測定しやすいと考えられている。確かに、テレビ広告や新聞広告で、同じように消費者の反応を把握するのは容易ではない。
しかし、別の側面からとらえると、インターネットは他メディアよりも広告効果を測定しづらいともいえる。そもそも、広告効果とは何だろうか?広告効果は、以下の順番に分解することができる。
- 到達……消費者に広告が露出されること。測定指標はリーチ(到達率)
およびフリークエンシー(到達頻度)。 - 認知……広告が到達したうえでその広告あるいはブランドが認知されること。
- 意識変容……その広告や広告内容に対して理解が深まったり興味がわいたりすること。
- 行動変容……購買など、行動に結び付くこと。
こうして考えてみると、インターネット広告が得意とするのはオンラインで生じた行動変容の測定である、ということがわかる。
しかしながら、測定データの分析を誤っては効果を浮き彫りにすることはできない。オンラインの行動については各種トラッキングツールでさまざまなデータを収集できるので、ややもするとデータに埋もれがちだ。まず仮説を立てて、それに基づいて適切なデータを正しく分析するスキルが求められる。そのスキルを磨くためには、高価なトラッキングツールを使用するまえに、簡単なツールから入門してみるとよいだろう。それを使いこなすうちに、課題に応じて必要な機能がわかってくるはずだ。
マスメディア広告とインターネット広告の効果測定の違い
マスメディアの広告はインターネット広告の逆で、行動変容よりも手前の到達や認知についての測定を得意としている。例えば、テレビ広告はそもそも到達の指標(世帯の延べ視聴率=リーチ×フリークエンシー)が広告を売買する単位になっている。出稿計画が決まれば、過去の蓄積データからターゲットごとの到達や認知も予測できる。
一方、一般的なインターネット広告の売買の単位であるインプレッション数から、そのリーチとフリークエンシー、あるいは認知を予測することは困難だ。予測ができないのは、インターネット広告の歴史が浅いからというより、インターネット広告の特性に起因するものであり、解決される目処は立っていない。たとえば、広告主を巻き込んだ業界の同意があれば完璧な測定手法でなくてもよいが、そのような議論は今のところできてはいないようだ。
意識変容や行動変容は、広告するブランドの魅力や流通によっても左右されるため、広告の出稿計画を立案するうえでは到達や認知の指標を使用することが多い。しかし、インターネット広告はその予測ができない。インターネット広告を古典的な指標であるリーチとフリークエンシーで管理するのは意味がないとの意見もあるが、インターネット広告を他メディアの広告と同列で評価するとき、それは必要になってくる。今後の課題といえよう。