マイナスに感じられる体験をデザインの力でプラスに
――「消すことが楽しい消しゴム」という切り口には目新しさを感じるのですが、どういった経緯で「エアイン 富士山消しゴム(以下、富士山消しゴム)」の商品化が実現したのでしょうか?
本木:アイデアを思いついたのは、大学院に在学している時でした。工学部デザイン科学科に在籍し、人がマイナスに感じる事をデザインの力でプラスに変えられるような作品作りをしていました。その流れで、消しゴムの消す行為の煩わしさに着目し、思いついたのが富士山消しゴムの原型です。
当初は、企業が開催しているコンペディションに出品したり、クラウドファンディングを活用したりと、自身での製品化も検討しましたが、製造ロットや販売価格の問題で実現できないままプラスに入社しました。
入社後2年程して、消しゴム担当になり、既存ブランドのリニューアルや新製品開発を行っている中で、以前より温めていた本アイデアを社内会議にかけて商品化にこぎつけました。
――「富士山消しゴム」の商品化の過程で苦労された点などを教えて下さい。
本木:内部の白い樹脂の形状は、3Dデータを作成し、何度もシミュレーションを重ねた上で決定しています。また、開発側が提案した価格では「高すぎる」、パッケージに関しては「デザインが大人向け過ぎる」などの意見も挙がったため、価格設定やパッケージデザインの方向性など、社内で擦り合わせ、最終決定をするのに苦労しました。
新たな引き合いのきっかけにも
――常にキレイな富士山になるような「富士山消しゴム」の使い方のコツなどあればお教えください。
本木:キレイな形にするには意外とコツが要ります。一度本体をスリーブから取り出して消していくと、キレイな形を作りやすいです。
――「富士山消しゴム」は数量限定での発売とのことですが、その個数は?
本木:非公開です。申し訳ありません。
――青富士と赤富士の2パターン販売されていますが、どちらの売上がよかったのでしょうか?
本木:申し訳ありませんが、こちらも非公開です。ただ、店頭では「青富士が先になくなってしまった」という声が多いです。
――SNSやネット記事などで、「富士山消しゴム」は話題となりました。売上以外でどういった影響があったのでしょうか?
本木:「富士山消しゴム」をきっかけに、今まで弊社商品のお取り扱いがなかったお客様からの引き合いもありました。