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MarkeZine Day 2019 Autumn(PR)

今後数年で「店頭における匿名EC購買」が広がる――ZETAが説くOMOとPOP UP店舗の可能性

「生活者の消費行動の変化にともない、今後POP UP店舗が重要なマーケティングチャネルとなる」と説くのはZETA株式会社の山崎氏だ。9月に開催されたMarkeZine Day 2019 Autumnでは、消費者に喜んでもらえるCXの実現を目標に据えたとき、OMOの強化がいかに有効であるかが、様々なデータとともに明かされた。

CX向上には、OMO強化が重要

 MarkeZine Day 2019 Autumnの2日目に行われたセッション「OMOとPOP UP店舗の可能性」にはZETAの山崎氏が登壇。現代の消費者の行動に基づいて、求められているCX像、これから求められるCX像を考える時間となった。

ZETA株式会社 代表取締役 山崎徳之氏
ZETA株式会社 代表取締役 山崎徳之氏

 スマートフォンが登場する前と後では、マーケティングのアプローチは大きく変化している。ほとんどの人がスマートフォンというデジタルデバイスを常に持ち歩くようになったことで、企業は生活者にいつでもどこでもコミュニケーションをとれるようになった。

 こうした生活者の行動の変化にともない生まれてきた概念が“CX”であると山崎氏。いかに消費者とコミュニケーションを図るかということについて俯瞰的な視点で考えられており、カスタマーサクセス、UXなどをすべて包括したキーワードだという。

 そして、このCXに基づくキーワードの一つとして挙げられたのが“OMO”だ。

 オンラインとオフラインを融合し、統合的に顧客体験を捉える――こうしたマーケティングについては、“オムニチャネル”“O2O”などのキーワードがこれまでにも注目されてきた。しかし本質的には、オムニチャネルはロジスティクスの効率化という意味合い。O2Oは“Online to Offline”で、ユーザーをいかにオフラインの店舗に導くかという一方向に限定された考え方である。

 一方、OMOは“Online Merges with Offline”、トータルでオンラインとオフラインを融合させることを考えるもの。山崎氏はOMOについて「カスタマーエクスペリエンスという視点で、一番正しく言い表しているキーワードなのでは」と話し、CXおよびOMOの概念を再確認した上で本題に入った。

POP UP店舗の可能性――CVRは35%、購入単価は30%増

 OMOに有効な施策として、山崎氏はPOP UP店舗の可能性に言及した。日本ではまだ限定感・特別感のあるPOP UP店舗だが、海外ではかなり増えてきているという。

 山崎氏は今年の7月に香港で開催された「RISE」というイベントで某ベンチャー企業が出していたPOP UP店舗の事例を紹介した。ECで家具を販売しているその企業は、POP UP店舗としてショールームを出店したそうだ。なお、この店舗はあくまで商品を実際に体験するためのもので、購入はECで行うという仕組みだった。

 その効果は驚くほど高く、購入単価が30%アップ、CVRが35%アップ、接触から購買までの時間は40%低下した。POP UP店舗の効果について、数値的なエビデンスがある事例はまだあまり出ていない。これは、貴重なデータではないだろうか。

 「うまくオンラインとオフラインを組み合わせれば消費者に喜んでもらえる。ここにかなりのチャンスがあることは、間違いないですね。消費者を喜ばすために何をすればいいか、それがCXでありOMOです。その手段としてPOP UP店舗は有効なのではないでしょうか」(山崎氏)

OMOにPOP UP店舗が有効な理由

 山崎氏曰く、海外の小売店舗では、商品の横にQRコードが貼ってある店が多いそうだ。手の込んだものではなく、紙にQRコードを印刷して切り、テープで貼ったようなものもあるという。

 たとえば、山崎氏が行ったアロマショップの店舗では、商品の横にあるQRコードをスキャンするとWebページに飛び、アロマの成分や効能などを詳しく知ることができたとのことだった。

 「実際に商品に触れるという点で、やはり店舗は圧倒的な強さを持っています。ですが情報収集と購入に関しては、デジタルデバイスを使ったほうが便利です。よって、オフライン to オンラインの形が最終的には自然になるのではないかと思っています」(山崎氏)

 ユーザーが店頭で商品を見ながら口コミなどより詳細な情報を検索する動きは、もはや止められない。また特にデジタルネイティブ、ミレニアル世代の間では、注文・予約・支払い・領収書の発行などリアルよりも便利かつ安全なものはデジタル上ですべて済ませてしまう。

 リアルとデジタルの良さを組み合わせて提供するPOP UP店舗は、CXの向上はもちろん、CVRや購買単価の上昇も見込めるというわけだ。

OMOでは“レビュー”が重要なデータとなる

 続けて山崎氏は、OMO強化を進める際、特に重要となるデータとして“レビュー”を挙げた。レビューには売り上げ増加の効果があるとし、次のような統計データが共有された。

レビューが1つもないECサイトの商品に、レビューが1つつくと、サイトの売り上げが10%増加10個のレビューがつくと売り上げは1.5倍、50個つくと2倍になる。

※出典:Smart Insights『The impact of customer reviews and ratings on conversion rates』

 とはいえ、レビューを導入するとなると、誹謗中傷を受けるリスクが懸念されるだろう。しかし「耳に痛い批判は受けなければいけませんが、明らかな誹謗中傷を載せる必要はありません。最終的にレビューはユーザーの体験にとってプラスになる。これこそCXの核心の一つではないかと思います」と山崎氏。

 実際に、ZETAのレビューエンジン「ZETA VOICE」を実装したアパレルECサイトは、2ヵ月で約3,000件のレビューが集まり、売り上げも向上したという。それだけでなく、多くのECサイトが課題視している返品率の低下や、購買率の上昇、さらにはレビューを製品開発につなげるといった効果もあった。

 なお、この事例はMarkeZineの記事「熱量あるコメントでCVR最大250%の成果も サンエー・ビーディーのレビュー活用マーケティング戦略」でも紹介している。

 デジタル上にあるレビューなどの情報は、店頭購買にまで影響を与え始めている。この点において山崎氏は、「レビュー施策はOMOに有効である」とし、さらに「レビューは“商品検索”の向上にもメリットがある」と話を続けた。

本質的にCXを考えると、重要なのは“検索の速さ”である

 「ECサイトの商品検索で重要なのは、絞り込みでなく並べ替えである」と山崎氏。全商品がヒットしていていも、良い順番に並んでさえすれば、消費者は買い物しやすいからだ。

 また、値段順・新着順に加え、消費者に強いニーズがあるのは“評価順”であり、ここでレビュー施策が活きてくる。山崎氏は、「レビューによって、OMOなりCXが向上するだけでなく、検索の使い勝手も良くなります」とし、連携して取り組むメリットに言及した。

 ZETAの商品検索エンジン「ZETA SEARCH」は、大手ECの導入シェア30%を誇っている。導入後の継続率は98%で、他社乗り換えのケースはこれまでの11年間で一度もないというから驚きだ。そして「ZETA SEARCH」の強みは、検索の処理速度にある。

 「私が思うに、検索エンジンは機能ではなく、速度が重要です。処理速度が速ければ、どんな素晴らしいマーケティングのアイデアも実装できるからです」(山崎氏)

 「ZETA SEARCH」の処理速度については、実装後10倍の高速化を実現した例や、12台の検索エンジンを並べているにも関わらず処理速度が遅くて困っていた某企業が「ZETA SEARCH」1台で3倍の高速化を実現したという実績もある。

 このように商品検索の高速性を武器にすれば、レビューなど他の施策も連携させ、より効率的・効果的にCXを高めることができる。

 よってZETAは、レビュー・商品検索・レコメンド・パーソナライズなどをトータルで最適化していくソリューション「ZETA CXシリーズ」を提供。中でも、OMOソリューション「ZETA CLICK」は、リアルとデジタルをつなぐCX・OMOソリューションの決定版として今夏リリースされたもので、事例こそまだないものの、企業からの引き合いは多いそうだ。

今後数年で、店頭におけるEC匿名購買が広がる

 セッションではOMO強化を放置するリスクにも話が及んだ。

 消費者が店頭で商品の情報を検索すると、SEO順の高い大手ECサイトがヒットしてしまう場合が多い。そこで価格や評価を比較検討されると、店頭から大手ECサイトに逃げられてしまう可能性が出てくるのだ。

 これを避けるためには、店頭で商品情報の提示・購入・決済・発送までをワンストップで提供する必要がある。そうなった時、これから起こる消費者の行動の変化について、山崎氏はこう予測する。

 「今後数年で必ず、店頭におけるEC匿名購買が広がります。その暁には、POP UP店舗というものが、かなり重要なマーケティングチャネルの一つになってくると思います」(山崎氏)

 今のタイミングで取り掛かると実験台になってしまうリスクもあり、よく考える必要があるとしながらも、「POP UP店舗の動きに着目してデジタルマーケティングの動向をキャッチアップしていただければ」とセッションを結んだ。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/04 12:00 https://markezine.jp/article/detail/32057