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CX神話に惑わされるな 現場の数値改善に直結するユーザーへのおもてなし体験の作り方

2019/12/02 10:00

 2019年9月、Sprocket社はロゴをはじめコーポレートアイデンティティ全般を刷新し、リブランディングを実施した。創業から一貫して、オンラインでのコミュニケーションに「おもてなし」の世界観を実現させることに注力してきた同社は、圧倒的な運用実績のもと、成果につながる顧客体験(CX)向上の手法を確立したという。数値改善に直結するユーザーへのおもてなし体験の作り方について、同社 代表取締役の深田浩嗣氏に迫った。

目次

顧客体験への注目は高まるが、実現できている企業は少ない

安成:2019年4月からMarkeZineの編集長に就任した安成です。今日は創業から一貫して、オンラインでのコミュニケーションに「おもてなし」の世界観を実現させることに注力してきたSprocket(スプロケット)社の深田さんを訪ねています。御社は、今年の9月に、ブランドロゴをはじめ、コーポレートアイデンティティ全般を刷新し、リブランディングを実施されましたね。

深田:Sprocket社の創業は2014年。この5年間でスマホシフトが進み、世の中や業界のトレンドも大きく変わりましたが、「オンラインのコミュニケーションはもっといろんな幅があってよいのではないのか」という課題意識と、「おもてなしの世界観をオンラインでも実現したい」という思いは変わっていません。

 一方で、それを実現するために、ゲーミフィケーションからはじまり、紆余曲折を経て様々な仮説・手法に取り組み、最適解にたどり着くことができました。業界のトレンドとして、ここ数年「顧客体験(CX)」という言葉への注目が高まっていますが、これも自分たちが目指してきた方向に世の中が寄ってきているように感じています。

(左)Sprocket株式会社 代表取締役 深田浩嗣氏
(右)株式会社翔泳社 MarkeZine編集長 安成蓉子

安成:2013年頃、深田さんと一緒に作っていた連載の中で、「自販機のようなWebサイトになっていませんか?」というフレーズが出てきたのですが、それが私にとってオンラインでの顧客体験はどうあるべきかを深く考える最初のきっかけでした。

深田:よく覚えていますね(笑)。そういった意味では、当時と比べてオウンドメディアやECサイトを自社で持つ企業も増えましたが、今もできている企業は多いとは言えない状況です。

安成:今、顧客体験を実現するにはどうすればいいのか、現場のマーケターから経営層まで、多くの方が向き合っている課題だと思います。

深田:顧客体験と言っても、2つの顧客体験がよく混同されているように思います。「ビジョンとしての顧客体験」と「プロセスとしての顧客体験」、この2つは分けて考えるべきです。

 「ビジョンとしての顧客体験」は、企業としてどんな体験を顧客に提供したいのかという、企業の思いや信念ですよね。スターバックスで言うと、サードプレイスみたいな、どんな空間を作りたいかといったものです。ここは基本的に、自社できちんと考えるべきことでしょう。そしてSproket社が支援できるのは「プロセスとしての顧客体験」です。ここがぶれると、「顧客満足度を高めましょう」といった、ふんわりした話になってしまう。

情報は自ら探さない/顧客体験の前提が変化している

安成:生活者のメディア総接触時間は1日あたり400分を超え、デジタルメディアのシェアはほぼ半分を占めています(「メディア定点調査2019」より)。デジタル化の加速にともない、ユーザーの行動はどのように変化しているのでしょうか?

深田:かつてはWebサイトに情報を掲載しておけば、お客様が自分で探して勝手に見てくれるという発想が強かったと思います。Webは自分で検索するよね、といった感じです。

 でも、今やスマホでネットを見ている一般的なリテラシーの人たちは、そうではありません。情報量は多くても、基本的に小さな画面で“ながら”見をしているので、知りたい情報がパッと見つからないとすぐに離脱してしまいます。

安成:そうですね。特に若年層に顕著な傾向だと思います。

深田:むしろ、“顧客は自分で必要な情報を探してはくれない”という前提で、Webサイトを設計したほうがいいでしょう。Webサイトに情報を置いているから探してね、という態度は“企業の傲慢”とも受け取られる時代になりつつあります。

安成:アプリの時代になって、プッシュ通知で情報を受動的に受け取ることにユーザーも慣れてきていますよね。必要な情報を探す前に、提案されることに慣れているというか。

深田:そうですね。情報設計の考え方もアップデートする必要があるでしょう。


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