データは料理でいう材料
第1部では、「データ再考~過剰な期待、漠然とした不安~」と題したセッションを実施した。このセッションでは、データをマーケティング活動に活かすために、広告主・代理店・メディアがどうデータと向き合えば良いか、U-35の登壇者が議論し合った。
モデレーターを務めた花王の廣澤氏はセッションの冒頭、「データとはそもそも何か?」という質問をパネリストに投げかけた。
Speeeの齊藤氏は、「世の中の事象を一定のルールのもと溜めていくもの」がデータと定義。何も考えず好き勝手に集めるのではなく、共通認識のもと蓄積したものが、データとして取り扱えるという。
大量のデータを保有するFacebook Japanの倉迫氏は、「データは料理でいう材料」と答えた。料理の仕方と料理人によって味が変わるのと同様に、データの扱い方と担当者が非常に重要になってくるのがデータということだ。
データの扱いはセンスと努力
廣澤氏は続けて、「データドリブンな〇〇って何ですか?」と話を移した。どのような条件が満たせたとき、データが正しく使えているのだろうか。
スマートニュースの山崎氏は「行動データ(CTRやCVRなどのアクションログに基づいたデータ)と心理データ(なぜそうなったかという感情に基づいたデータ)の使い分け」を条件の一つとして挙げた。特にデジタル施策の場合、行動データが取得しやすい結果、そこに依存して失敗するケースがあるという。
行動データを見ながら、なぜそのような結果になったのかについて心理データを用いながら解釈していくことが、重要だという。
齊藤氏は「データをエビデンスに意味解釈して仮説を立て、意思決定をした状態がデータドリブン」とした。さらに、データを意味解釈していく上では、前提条件を整理することが重要だという。どこまでならできる・できないなどあらゆる可能性をわかった上で施策を設計することで、施策の結果が影響していそうな要因をあらかじめ整理していくことが、データドリブンには欠かせないのだ。
これに対し廣澤氏は「推論をしていくと多くの要因が出てくるが、どのようにして重要なものを絞っているのか」と返した。齊藤氏は「検証したい目的を明確にして、それ以外の外部要因はできるだけ同じにする。たとえば、クリエイティブやLPを変えたことによるA/Bテストをするならば、配信時期やターゲットを揃える」とした。
そして山崎氏は、意味解釈に必要なのは「センスと努力」とした。
「行動と行動の差を埋める、心理を想像しつなげる努力を繰り返せばセンスは身に付きます。具体的には、何か施策を行ったときに良くなった、悪くなった、もしくは何も変わらなかった理由を毎回考えることが重要です」(山崎氏)