時代は変われども変わらない「マーケターに必要な能力」の根幹は?
様々なデータを参照した企業のプロモーションやお知らせに対して、どのようなものであれば興味を持つかという問いでは、最も多かった回答は「受け取る内容次第」(38.9%)で、「発信者次第」(21.2%)、「受け取るタイミング次第」(14.9%)と続いた。

この結果からは、「消費者のニーズとプロモーションの内容が一致しているかどうかが大事だとわかった。企業がある程度その人の興味というものを知っておかなければならないことが改めて調査から見えてきた」と安西氏。
中津氏は、「受け取る内容次第」の比率が高いという結果から、消費者がマーケターに求めていることは「うまくニーズをくみ取るという、まさにマーケティングの根幹に関わること」だと主張。「『消費者のニーズをくみ取り、それに適したコミュニケーションを行う』ということは、時代が変われども変わらない、マーケティングの本質である」と語った。
メッセージを受け取る手段ひとつで消費者が受ける印象は変化する
さらに調査では、企業が活用するデータについて、消費者が参照される情報5種類と受け取る際の3つの条件をそれぞれ組み合わせた分析が行われた。参照される情報は「情報の参照元」「個人情報」「行動履歴」「購買履歴」「位置情報」の5種類、受け取る際の条件は「受け取るタイミング」「受け取る方法」「受け取る内容」の3つだ。これにより、参照される情報の種類と受け取る際の条件の中で、どの要素が他と比べて重要視されているのかを洗い出し、次の結果を得た。

「情報の参照元」と「受け取る方法」が相対的に大きな影響を与えることがわかる。これは、客観的に見て「良い」とされる内容の提案であっても、「情報の参照元」によって、その提案がより良い(あるいはより悪い)と捉えられるということを示す。
また、どんなに良い提案であっても、メールならより嬉しいが、電話だと迷惑に感じるといったように、メッセージを受け取る手段ひとつで消費者が受ける印象は変化することがわかった。
中津氏はこの結果を受け、「消費者から『マーケティング活動の透明性』のようなものを求められていることがわかった」と述べ、「企業がマーケティング活動の具体的な方法を消費者に伝えることは少ない中で、消費者は『情報の参照元』といった活動の裏側にあることを予想以上に気にしており、新しい発見だった」と話した。
なおこの結果から、消費者が納得するデータ活用パターンを見つけられる可能性もあるとわかった。次ページで、データ利用の前提とともに解説していく。