スターバックスが長時間いる人に圧をかけない理由とは?
長時間お店にいてもスターバックスの店員さんからプレッシャーを感じない理由、それはスターバックスという企業が、原則すべての店舗を直営形式で運営しており、「第3の場所」としての居心地の良さを毀損しないようにしているからです。
スターバックスにおける店舗の役割は、あくまでお店を訪れるお客様にとっての「第3の場所」であること。お店で働く人たちはそのための工夫や努力に集中してもらう。間違っても、利益のためにお客様の入れ替わりを促すような働きかけはしない、そしてそれが起きないように直営店という仕組みを導入している。
そしてお店があまりに混んでいて、サービスを受けることができないお客様が多いのなら、すぐ近くに新しい店舗を出店する。スターバックスが店舗立地戦略としてドミナント戦略を採用しているのは有名な話です。
利益を得るためには、利益を得ることのみに最適化してはいけない。スターバックスの事例を通じてご理解いただけたのではないでしょうか。
お客様に多く来てもらうこと(来店促進)、たくさん商品を買ってもらうこと(販売促進)、それらを第一義の目的にはしていない。あくまで「第3の場所」にふさわしい店舗空間、接客、そして商品の提供に努めることで、結果として来店促進も販売促進にも成功している。
これは、社会価値を満たすことで結果として経済価値も享受できている状態と言えます。

業態という視点で捉えると、スターバックスは数多あるカフェチェーン店の1つに思えますが、実は「第3の場所」という提供価値により、独自のポジションを確立している。これは視点を変えると、スターバックスそのものがカテゴリーである状態、つまりカテゴリー・イノベーションを起こしているのです。
そして社会価値と経済価値を両立させている要因は、”Third Place”というブランドコンセプトにあります。そのコンセプトを実現するために、すべてのブランド活動は存在している。そしてその結果、お店を利用する方たちにとっての「第3の場所」という価値を提供することに成功しているのです。
