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「見つめ直そう、すべてのブランド・企業は独自の存在であることを」ブランドを資産にするために大切なこと

2020/10/01 07:00

 本連載では、デジタルシフトに向き合うマーケターに対し、オプトのエグゼクティブ・スペシャリスト マーケティングストラテジスト 鈴木智之氏がマーケティングに対する認識の変化について解説します。最終回となる今回は、ブランドを資産として活用するために重要なことを解説します。

目次

元々独自の存在なのに、なぜ差別化が必要となるのか

 一人ひとりがそれぞれ異なるように、企業も一社一社がそれぞれ異なっていて当たり前です。ただ、この前提は当たり前すぎるがゆえに忘れられがちです。

 同じカテゴリーと定義した他社を競合に設定し、競合の業績や取り組みに関する情報を入手し、自社の取り組みと照らし合わせ、一喜一憂したり、対応や改善を考えたりする。あなたの会社でも同じような現象が起きているのでは?

 ここには前提として、自社も他社も「同じようなもの(同じカテゴリー)」という認識が存在しています。前回述べたように、人間の脳には、物事をカテゴライズして「同じようなもの」にする癖(才能)があり、その結果このような事象が起きてしまうのです。

 しかし、この連載を読んでくださっている方たち一人ひとりが独自の存在である、つまり同じ人間は他に存在しないのと同様に、企業も一社一社が異なる、つまり独自の存在であることは明らかです。

 なぜ、このような不合理が起こってしまうのでしょうか?

利用意向や購入意向を左右するブランドロイヤリティとは

 以下は、2019年にオプトが実施したブランド評価に関する自主調査のレポートです。52ブランドの日本国内における評価を、独自のブランド評価指標で表したものになります。我々独自のブランド評価指標は、過去調査の結果から、ブランドロイヤリティが高いほど製品やサービスを利用する意向や購入する意向が高まることがわかっています。

 縦軸はブランドに対するロイヤリティの高低、横軸はブランドのキャラクターを表しています。

縦軸:上へ行くほど消費者のブランドロイヤリティが高く(良い状態)、下は低い(悪い状態)。横軸:右へ行くほど親しみやすく、左へ行くほど独自性が高いと思われていることを表しています。
縦軸:上へ行くほど消費者のブランドロイヤリティが高く(良い状態)、下は低い(悪い状態)
横軸:右へ行くほどブランドに対して親しみやすく、左へ行くほど独自性が高いと思われていることを表しています

 このうち3つのブランドを抽出(ブランドA・ブランドB・ブランドZ)し、詳細に分析してみます。ちなみに、この3ブランドはいずれも製造小売業という業態で、そのうちブランドAとブランドBはいわゆるSPA(アパレルの製造小売業)、ブランドZは生活雑貨の製造小売業です。

 各ブランドロイヤリティを、利用経験別に3つのセグメントで評価したものが以下の図です。まずは、ブランドAとBの比較。

 上記はブランドの利用状況を現在ブランドを利用している層(現利用層)、過去にブランドを利用していた層(過去利用層)、まだブランドを利用していない層(未利用層)の3つに分け、セグメントごとにプロットしたものです。また、円の大きさは市場におけるボリューム(人数)を表します(円の面積が大きいほど市場ボリュームが大きい)。

 いずれもSPAブランド(アパレル製造小売業)ですが、ブランドロイヤリティはブランドAの方が圧倒的に高く、その要因は現利用層からの評価によることがわかります。

 一方、ブランドAに比べてブランドロイヤリティが低いブランドBは、未利用層のブランドロイヤリティが低く(ブランドセイリエンスに課題がある。つまり、存在が知られていない状態です。)、それが全体のブランドロイヤリティを押し下げている要因であることがわかります。

 また、ブランドBの現利用層のブランドロイヤリティはブランドAのそれと比べて、右寄り(親しみやすさ)にプロットされており、過去利用層同士を比較してもブランドAは左寄り(独自性)、ブランドBは右寄り(親しみやすさ)であることから、そもそもブランドロイヤリティを構成する要素に、明確な違いがあることが推察されます。

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