長年の実績が活かされている、ポップアップブース
OMO施策として、期間限定で小スペースに出店する「ポップアップブース」も普及してきている。同社は、大手家電メーカーや化粧品メーカー向けの店頭什器を長年手掛けてきた実績があり、その強みを活かしたポップアップブースを提供している。
定借型の商業施設への出店はどうしてもコストがかさむが、ポップアップブースであれば、お客様の反応を見て規模の拡大を検討できるというメリットがある。
同社では、ポップアップ用に様々なタイプの什器を展開しており、中には実際の商品棚とデジタルサイネージを組み合わせたものもある。
タッチパネル式のデジタルサイネージの場合、検索機能から商品を探し、気に入ったものがあればQRコードを発行、そこからECサイトへ誘導または近隣の在庫のある店舗へ誘導するところまで無人のブースでできてしまう。タッチパネルだけでなく実際の商品サンプルも展示できる什器なら、商品が届いた後の「なんかちょっと違う」というECの弱点をなくすこともできる。
リアル店舗の一角にサイネージを設置すれば、多言語対応や簡単なFAQの提供をサイネージ上で行えるため、人材不足の問題にも役立つ。サイネージから商品をECで購入し、自宅あるいは店頭で受け取る「クリック&コレクト」の普及に一役買う存在になりそうだ。
OMO施策としてのポップアップブースの実証実験結果
田邉氏は、実証実験の成果も共有し、OMO施策の有効性を示した。
ある空港では、デジタルサイネージのポップアップブースを設置したところ、「通常のECのみの場合と比べてサイネージ経由の場合はコンバージョンが高かった」と田邉氏。
さらに京成上野駅のリニューアルオープン企画では、駅構内にキャラクター商品の無人スポットを展開。サイネージと実際の商品を組み合わせたポップアップブースを設置し、リアル店舗に誘導したところ、当該店舗への来店客数増につながったという。
また同社は、パーソナルアプローチを実現するOMOツールとして、会員管理システム「CRooM+(クルームプラス)」を提供している。これは、電子マネーやポイントシステムと連携し、チラシやキャンペーン、会員証などをスマートフォンアプリやマイページに表示させるもの。現在スーパーマーケットを中心に小売店舗で導入されており、ハウス型電子マネーのデポジット入金による再来店促進などの効果を狙っているという。
近年注目のICT接客 変なホテル ハウステンボスでの導入事例
最後に、OMO施策としては少し毛色が異なるが、人材不足の問題解決をデジタルで支援するソリューションとしてホテル業界向けに提供しているクラウドサービス「Travel Manager(トラベルマネージャー)」も紹介された。
「Travel Manager」は、顔認証によるキーレス入室と二次元コードを利用したスマートチェックインなどの機能を組み合わせたもので、顔認証によるキーレス入室は「変なホテル ハウステンボス」で採用されている。
ホテルでは、昨今のインバウンド旅行者の増加により、外国人宿泊者に対応する機会が増えており、混雑するチェックインとチェックアウトの時間帯は特に業務負荷が大きい。この問題解決にテクノロジーを活用すれば、スタッフの負担の軽減とお客様へのサービス品質の向上を共に期待できる。田邉氏によれば、ホテルの特性もあるが、「1年間の運用でクレームはほぼゼロ」だという。
同社は、「Travel Manager」の仕組みをスマート個人認証として、ホテル業界以外のオフィスビルやマンションの入退管理システムへの適用に拡大させていく計画だ。
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