著名タレントよりキャラクターを使うべき理由
広告やプロモーションなどのマーケティング活動に、キャラクターを活用する企業が増えている。その理由についてディー・エル・イーの取締役COOである高倉喜仁氏は、「人間のタレントに比べて活躍の幅が広がりやすく、伝えにくいことや説明しにくいことをわかりやすく説明できるほか、高い動画視聴完了率が見込めるというメリットがあります」と説明する。
また過去の「ゆるキャラブーム」も、企業独自のキャラクターを生み出す流れに拍車をかけたという。
高倉氏は、ディー・エル・イーのキャラクターマーケティング・ソリューションの導入を決めた企業のほとんどは、次の3つの課題を抱えていることを指摘する。それは「著名タレントを採用したが、うまくいかない」「訴求する内容、伝えたいことがわかりにくい/いいにくい」「オリジナルキャラクターを作ったが、マーケティングに活かせない」の3点だ。
「芸能人を起用して成果を出すのも非常に難しくなっている」と高倉氏は語る。俳優やタレントなどのスケジューリングには時間がかかり、不祥事のリスクもある。また、テレビCM素材をデジタル広告に展開する場合も制約が多く、デジタルの利点である迅速なPDCAが回しにくいケースもあるなどの課題を提示した。
「商材が特殊な内容で難しかったり、啓蒙CMで『お前がいうな』と炎上してしまったり、“伝えること”の難しさに悩む企業もたくさんいらっしゃいます」(高倉氏)
この芸能人やキャラクターを使ったマーケティングが難しいという話の中、秘密結社 鷹の爪の戦闘主任の吉田“ジャスティス” カツヲくん(以下、吉田くん)が登場した。吉田くんは、こうした企業の課題に対し、キャラクターを活用するメリットを次のように説明する。
スピード×柔軟性で尖った企画を実現
「キャラクターは生身の人間と異なり、病気や加齢のリスクがなく、いくら働いても文句をいわず、健康そのものです。反対に、キャラデザイン次第では病気にも加齢にも対応でき、その気になれば性別や生き物の種さえ変えてしまえる柔軟性があります。当然、不祥事のリスクもありません。そして、キャラクターの特性を活かせば、難しい訴求内容であっても伝わりやすい表現に工夫して届けることができます」(吉田くん)
ディー・エル・イーが制作しているコンテンツ『秘密結社 鷹の爪』は、世界平和を目指して世界征服を企む悪の組織「鷹の爪団」の活動を描くFlashアニメだ。
そんな鷹の爪団に所属する吉田くんや鷹の爪団を率いる総統らは、反社会的勢力という立場でありながら、警視庁のサイバー犯罪撲滅キャンペーン、外務省主催のイベント、JR西日本のマナー向上キャンペーンなどに起用されており、下手な人間の著名タレントよりも活躍している。
吉田くんは「伝えにくいこと、言いにくいことをしっかり訴求できるため、数分にわたる長尺のデジタル動画でも高い視聴完了率が取れるため」だと、その活躍の理由を明かした。
たとえば、2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、投資の促進制度として証券会社からは注目されていたが、その利点を生活者に伝えることは難しかった。そこで野村證券は、鷹の爪団をキャラクターに起用。「NISAの村」というキャンペーンを展開した。
「野村證券からの要望は、『野村證券』と『NISA』の2つをわかりやすく訴求してほしいというもので、ダイレクトに『NISAの村』(NISA野村)と提案しました。その村の活動を、動画やイベント、広告で我々が伝えることで、NISAと言えば野村證券であることをうまく訴求できたと思います」(吉田くん)
では、企業が「秘密結社 鷹の爪」のようキャラクターを活用する利点は何か。高倉氏と吉田くんは「スピードとフレキシビリティ(柔軟性)がポイント」と説明する。
「秘密結社 鷹の爪」はFlashアニメなので、通常のアニメーションに比べると作画枚数が少なくて済む。さらに吉田くんによれば、人数も「監督のFLOGMANを入れて3〜4名程度で制作可能」だという。そして、制作に対する作業や人的コストが少ない分、シナリオ構成や企画に時間をかけられるのだ。