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MarkeZine Day 2020 Spring(AD)

柔軟性高く、不祥事リスクゼロ!秘密結社 鷹の爪が明かす、キャラクターマーケティングが持つ強大な力

 近年、懐かしのアニメキャラクターなどを使ったプロモーション施策が目立っている。親しみのあるキャラクターで、ブランドや商品の認知度や好感度を上げられる効果が見込める一方、こうしたキャラクターの力を最大化するにはどうすればいいのだろうか。本記事では、MarkeZine Day 2020 Springに登壇した「秘密結社 鷹の爪」などのコンテンツを展開し、企業のキャラクターマーケティングを支援するディー・エル・イーの高倉喜仁氏と、「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんがキャラクターの効果的な活用法について語った。

著名タレントよりキャラクターを使うべき理由

 広告やプロモーションなどのマーケティング活動に、キャラクターを活用する企業が増えている。その理由についてディー・エル・イーの取締役COOである高倉喜仁氏は、「人間のタレントに比べて活躍の幅が広がりやすく、伝えにくいことや説明しにくいことをわかりやすく説明できるほか、高い動画視聴完了率が見込めるというメリットがあります」と説明する。

株式会社ディー・エル・イー 取締役COO 高倉 喜仁氏
株式会社ディー・エル・イー 取締役COO 高倉 喜仁氏

 また過去の「ゆるキャラブーム」も、企業独自のキャラクターを生み出す流れに拍車をかけたという。

 高倉氏は、ディー・エル・イーのキャラクターマーケティング・ソリューションの導入を決めた企業のほとんどは、次の3つの課題を抱えていることを指摘する。それは「著名タレントを採用したが、うまくいかない」「訴求する内容、伝えたいことがわかりにくい/いいにくい」「オリジナルキャラクターを作ったが、マーケティングに活かせない」の3点だ。

 「芸能人を起用して成果を出すのも非常に難しくなっている」と高倉氏は語る。俳優やタレントなどのスケジューリングには時間がかかり、不祥事のリスクもある。また、テレビCM素材をデジタル広告に展開する場合も制約が多く、デジタルの利点である迅速なPDCAが回しにくいケースもあるなどの課題を提示した。

 「商材が特殊な内容で難しかったり、啓蒙CMで『お前がいうな』と炎上してしまったり、“伝えること”の難しさに悩む企業もたくさんいらっしゃいます」(高倉氏)

 この芸能人やキャラクターを使ったマーケティングが難しいという話の中、秘密結社 鷹の爪の戦闘主任の吉田“ジャスティス” カツヲくん(以下、吉田くん)が登場した。吉田くんは、こうした企業の課題に対し、キャラクターを活用するメリットを次のように説明する。

スピード×柔軟性で尖った企画を実現

 「キャラクターは生身の人間と異なり、病気や加齢のリスクがなく、いくら働いても文句をいわず、健康そのものです。反対に、キャラデザイン次第では病気にも加齢にも対応でき、その気になれば性別や生き物の種さえ変えてしまえる柔軟性があります。当然、不祥事のリスクもありません。そして、キャラクターの特性を活かせば、難しい訴求内容であっても伝わりやすい表現に工夫して届けることができます」(吉田くん)

秘密結社 鷹の爪 戦闘主任 吉田“ジャスティス” カツヲくん
秘密結社 鷹の爪 戦闘主任 吉田“ジャスティス” カツヲくん

 ディー・エル・イーが制作しているコンテンツ『秘密結社 鷹の爪』は、世界平和を目指して世界征服を企む悪の組織「鷹の爪団」の活動を描くFlashアニメだ。

 そんな鷹の爪団に所属する吉田くんや鷹の爪団を率いる総統らは、反社会的勢力という立場でありながら、警視庁のサイバー犯罪撲滅キャンペーン、外務省主催のイベント、JR西日本のマナー向上キャンペーンなどに起用されており、下手な人間の著名タレントよりも活躍している。

 吉田くんは「伝えにくいこと、言いにくいことをしっかり訴求できるため、数分にわたる長尺のデジタル動画でも高い視聴完了率が取れるため」だと、その活躍の理由を明かした。

 たとえば、2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、投資の促進制度として証券会社からは注目されていたが、その利点を生活者に伝えることは難しかった。そこで野村證券は、鷹の爪団をキャラクターに起用。「NISAの村」というキャンペーンを展開した。

 「野村證券からの要望は、『野村證券』と『NISA』の2つをわかりやすく訴求してほしいというもので、ダイレクトに『NISAの村』(NISA野村)と提案しました。その村の活動を、動画やイベント、広告で我々が伝えることで、NISAと言えば野村證券であることをうまく訴求できたと思います」(吉田くん) 

 では、企業が「秘密結社 鷹の爪」のようキャラクターを活用する利点は何か。高倉氏と吉田くんは「スピードとフレキシビリティ(柔軟性)がポイント」と説明する。

 「秘密結社 鷹の爪」はFlashアニメなので、通常のアニメーションに比べると作画枚数が少なくて済む。さらに吉田くんによれば、人数も「監督のFLOGMANを入れて3〜4名程度で制作可能」だという。そして、制作に対する作業や人的コストが少ない分、シナリオ構成や企画に時間をかけられるのだ。

著名キャラを使う時の注意点とは?

 続いて2名は、キャラクターをどのように活用するべきかについて解説した。キャラクターは、一般的に有名な「著名キャラ」、そして自社で独自に作った「オリジナルキャラ」の2種類で活用のポイントが異なるという。

 まず著名キャラの場合、一番わかりやすいのが「パロディ」だが、注意点もある。あまりに有名なキャラクターになると、原作者のほか、版権を持つプロダクションなどさまざまなステークホルダーが絡み合うことになるので、「下手をすると、人間の著名タレント並みの制約があるケースもある」ということだ。

セッション中には、吉田くん(の中の人)の休憩タイムも設けられた
セッション中には、吉田くん(の中の人)の休憩タイムも設けられた

 ちなみにディー・エル・イーの場合、ある青年誌漫画の著名キャラを活用したパロディを展開していたところ、原作者がそのパロディを気に入り、版権を持つ出版社の意向に忖度することなく、ユニークなプロモーションが展開できたという。「いい企画を出して、原作者からお墨付きをもらうのも有効」と高倉氏は説明する。

オリジナルキャラ活用の鍵は「継続したコンテンツ」と「環境作り」

 オリジナルキャラの場合、活用のポイントは2つ。1つは「コンテンツを産み出し続けること」、もう1つは「当事者が積極的に活用しやすい環境を作ること」だ。

 特に2つ目に関しては、様々な工夫が考えられる。たとえば、権利関係を明確にし、活用に関するガイドラインを作る、ポーズ集を準備する、キャラのイメージを把握するためのインターPR動画を作成するなどだ。

 また、イラストだけでなく、ぬいぐるみなどのグッズを作れば「外でぬいぐるみの写真を撮っただけで、SNSのコンテンツになる」と高倉氏は語っており、企業の準備次第で活用の幅は広がることがわかる。こうした取り組みが、コンテンツを「産み出し続けること」につながるわけだ。

 これらのポイントを押さえてコンテンツを発信し続ければ、様々な人にリーチすることができる。またオリジナルキャラの場合、契約で使用期間がある著名キャラと異なり、いつまでも使い続けられるので、SNSやWeb広告、動画、テレビCMなどクロスメディア展開もしやすい。

 ディー・エル・イーが実際に関わったケースだと、みずほ銀行の「あおまる」くんを使ったデジタルキャンペーンがある。Web漫画やクイズ、広告など多彩なシーンで「あおまる」くんを活用し、消費者に「親しみやすく、寄り添う銀行」と印象付けた。

事例でわかる、キャラクター活用がもたらす成果

 最後に、キャラクターを活用したメディア展開における特長、その成果について、高倉氏が自社のオリジナルキャラを例に説明した。

 高倉氏によると、キャラクターによるメディア展開の特長は、「SNSでの高いエンゲージメント」「動画広告における高い視聴率」「イベントの対応など、高い柔軟性があること」の3つが挙げられるという。「馴染みのキャラクターが、こんな言動をしている」というおもしろさがユーザーの心をつかみ、リツイートやいいねなどの行動を誘発すると考えられるそうだ。

 たとえばディー・エル・イーが展開するSNS漫画「耐え子の日常」アカウントでは、企業からの依頼を受け、キャラクターマーケティングの一環としてPR投稿漫画を掲載している。

 「耐え子の日常」アカウントでPR投稿をTwitterでした際には、当時7万フォロワーだったものの、4,000近いリツイートを獲得し、最終的に120万インプレッションを達成したという。Instagramのアカウントでも、投稿に対するリツイートこそないが、27万いいねを獲得し、38万フォロワーに対して200万インプレッションの効果があったそうだ。

 そのほか、SNS広告のクリック誘導広告、エンゲージ獲得型広告の成果を単価ベースで測定したところ、一般的な広告に比べ、「耐え子」のキャラクターを使った広告では100倍の成果となったという。キャラクターというのは、それだけ使い勝手が良く、高い効果が見込めるのだ。

 また、島根県松江市の観光大使を務める鷹の爪団の吉田くんによると、自身がPRした松江市のYouTube TrueViewインストリーム広告の視聴完了率も、非常に高かったという。

 「通常30秒広告の視聴完了率は平均して15〜16%ですが、我々の経験則だと、キャラクターを使ったアニメ広告は30%を超えることがほとんどで、20%を切ることはほとんどありません。今回の松江市の広告は、3分40秒という長尺ながら完了視聴率は18%、30秒広告では36%でした」(吉田くん)

 キャラクターなので、イベントやチラシ広告にも露出しやすい。日清食品ではディー・エル・イーと契約し、全国のスーパーマーケットに対して、日清食品が使用料を払うので販促やチラシに鷹の爪団のキャラクターの自由な使用を許可。その代わりに「店内における自社製品の販売棚設置と、商品広告を必ず入れる」というキャンペーンを展開。また外務省では、吉田くんが実際に外務省のイベントに出席し、表敬訪問をする様子がTwitter上で拡散され、話題となった。

 「2次元のキャラが、実際に政治家やユーザーと会い、コミュニケーションしている様子だけでおもしろいコンテンツになり、SNSで話題となるんです」(吉田くん)

広告宣伝をエンターテインメントの1つに

 キャラクターマーケティングについて、ディー・エル・イーは今後どのような展開を考えているのか。

 1つには、SNSを始め、地上波テレビやラジオ、書籍、雑誌など多方面で活躍するキャラクターを「ソーシャルキャラクター」と定義し、企業のニーズに応えるためにその拡充をしていく活動がある。現在、「正義のミカたん」や「僕の彼女、ヤバにゃん」、パソコンの周辺機器を擬人化した「周辺男子」などのキャラクターを制作し、TwitterやInstagramで着々とファンを増やしている。

 もう1つは、「秘密結社 鷹の爪」のプロデューサーである同社のFLOGMAN氏が登場しこのように語った。

株式会社ディー・エル・イー 取締役CCO(Chief Creative Officer) FROGMAN氏 
株式会社ディー・エル・イー 取締役CCO(Chief Creative Officer) FROGMAN氏 

 「映像だけでなく、スマートスピーカーなどの音声デバイスを活用し、音声ベースのスマートデバイスによるコンテンツにも挑戦していきたいです」(FLOGMAN氏)

 高倉氏も「もともと当社はエンターテインメントを提供しており、広告宣伝もその表現の1つだと思っているので、様々な表現でクライアント企業の期待に応えたい」と語り、講演を終えた。

キャラクターマーケティングの可能性を感じた方はWebサイトもチェック!

 ディー・エル・イーのWebサイトでは、今回のレポートに出てきた以外の事例や他のソリューションなどを紹介しています。「もっとキャラクターマーケティングに関する情報が知りたい」という方はWebサイトもご確認ください! 詳細はこちら

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33125