「業界破壊企業」の主役はミレニアル世代
当然ではあるが、現代の業界破壊企業には、デジタル・ネイティブである「ミレニアル世代」が色濃く関与している。「ミレニアル世代」とは「1981年以降に生まれた人たち」を総称したもので、前半はY世代(1981~1995年生まれ)、後半はZ世代(1996年~2010年生まれ)と呼ばれている。本連載ではこれまでZ世代の特性を紹介してきたが、今回は範囲を広げ、「ミレニアル世代が生み出すイノベーション」について話していきたい。
いつの時代も、古い文化を打破する革新は、新しい世代が持ち込んでくる。
米国ニュース専門局CNBCが発表した「2019 CNBC Disruptor 50」に登場する、トップクラスのスタートアップ50社を調査したところ、興味深いことがわかった。創業者(共同創業者含む)118名のうち、48名(41%)が「ミレニアル世代」だったのだ。
政治の世界では、いまだにベビーブーマー世代(X世代よりさらに上の世代)が岩盤のように実権を握り、「オーケー、ブーマー」という若い世代の苛立ち・嘆きの言葉が世界的なブームになっているが、経済における主役は、既にミレニアル世代にシフトしつつあるということだ。
米国では人口の過半数が“ミレニアル世代”に
ここで、ミレニアル世代は、消費人口においてどれくらいの比率を占めているのか。最新データで日米を比較してみよう。
2020年、米国における全人口3.28億人のうち、ミレニアル世代は1.73億人、人口比で53%と既に過半数をとなっている。そのため、当然のごとく米国企業の多くはミレニアル世代を強く意識したサービスを展開している。
一方で、2020年度の日本を見ると、全人口1.26億人のうち、ミレニアル世代は4,700万人、人口比で37%。米国よりかなり高齢化が進んでいるため、商品サービスへの「新しい感性の折り込み」が遅れる一因となっている。視聴率を制作基準におくテレビ番組などはその典型だ。結果的にYouTubeやNetfixなどの破壊的なイノベーションが次々と登場し、テレビは「イノベーションのジレンマ」のまっただなかで苦しんでいる。
ミレニアル世代最大の特徴は、物心ついたときからデジタル文化を身近に感じながら育ってきたこと。テクノロジーの急激な進化が、人々のつながりを深め、リベラルで多様性を大切にする若者を生み出した。彼らはインターネットから情報をキャッチし、自らもSNSで発信する。また他者とのつながりや共感を大切にする。そして環境保護や社会貢献意識が強く、モノよりコト、お金より時間、高価なブランド品よりも自分自身にフィットしたオンリーワンを大切にする世代である。
そして、時代をリードする業界破壊企業は、そんな彼らのコミュニケーションスタイル、ライフスタイル、さらには購買行動や価値観などを強く意識したビジネスモデルを展開している。