リーマンショックをきっかけにデジタルシフト
野崎:今回はデジタルエージェンシーから事業会社への転職を経てキャリア形成されているリクルートの森さんに話を伺います。デジタルエージェンシーなどの支援会社から事業会社に行きたい方は多いと思いますので、これから聞く森さんのキャリアをぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
まず、現在どのような業務を担っているのか教えてください。
森:現在、Airレジ・Airペイをはじめとするリクルートの業務支援サービス「Air ビジネスツールズ」というSaaS領域のプロダクトに関するマーケティング戦略の立案からメンバーのマネジメントと、旅行サイトの「じゃらんnet」に関するマスプロモーションを担当しています。
野崎:特にデジタルエージェンシーの方とキャリア設計の壁打ちをしていると、まさに森さんのような職域に携わりたいというニーズが多いです。再現性のあるノウハウをヒアリングしたいですね。
早速キャリアの振り返りですが、ファーストキャリアはSP(セールスプロモーション)会社だったんですよね。
森:はい。SP会社ではアカウントプランナーとしてプロ野球チームや銀行などのクライアントを担当し、キャンペーン時の配りものやリアルイベントの企画運営などを行っていました。また、Webサイトの制作などにも携わっていました。
野崎:いわゆる営業ですよね。約4年半経験された後、デジタルエージェンシーに転職された背景を教えて下さい。
森:当時はリーマンショックの影響を受け始めていたころで、徐々に広告・マーケティングにおけるデジタルの構成比が大きくなっていく流れを感じていました。さらに、事業会社でマーケティングに携わりたいと思っていたことから、デジタル領域のスキルセットを身に付けたいと思うようになりました。
SP会社の中で身に付けられるデジタル領域に関するスキルには限界があったため、デジタルエージェンシーに入ってスキルを身に付けようと転職を決めました。
20代のうちに事業会社にチャレンジ
野崎:当時から事業会社へのキャリア形成のイメージを持っていたんですね。2020年現在も「SP会社などの支援会社から事業会社のマーケターに転身したいが、デジタルスキルが足りないので、一旦デジタル系の支援会社に転職して実力を付ける」ケースは有効な一手となっています。
ただ、そのまま営業ラインでマネージャー職に昇格し、支援会社でそのままキャリア形成していくパターンも散見されます。2社目のデジタルエージェンシーでの職域は営業職でしたよね。
森:はい、営業として幅広い業種の企業に対しデジタルマーケティングの提案を行っていました。ただ、提案をすればするほど集客の先のデータやKPI設計について気になるようになり、集客戦略のところから考えたいと思うようになりました。
当時はマネージャー職にも就いており、このまま年齢を重ねていくと野崎さんがおっしゃっていたように広告代理店の営業マネージャーとしてのキャリアパスになると感じていました。
そのキャリアパス自体を否定するつもりはまったくないのですが、自分としては、20代のうちに事業会社でチャレンジしたいと思い、転職活動を始めました。
野崎:30歳という数字を意識してキャリア形成を考える人は多いですが、例に漏れずというやつですね(笑)。支援会社で計8年の経験を積んで、アプリゲームを展開する某メガベンチャーに転職されましたが、決め手はなんだったのしょうか。
森:転職活動を始めるのが遅いほうだと感じていたので、その当時、人材採用に積極的な企業を狙っていました。その中で縁があったのがそのメガベンチャー企業でした。