臨機応変×インハウスで良いコンテンツを届ける
平地:ではここから、アカウント運用の詳細に迫っていきたいと思います。まず、運用における方針みたいなものはあるのでしょうか。
新川:一言で言えば、臨機応変ですね。日によって様々なニュースが出てくるので、基本的な戦略はありながらも、英語の公式アカウントとマーケティングチームと連携しながら日本の方に役立つ情報が何かを精査して、適宜配信しています。

ウィザーズの強みは、インハウスでコンテンツの制作から配信までを一貫して行っている点です。約12名ほどいるデジタルチームのメンバー、そして日本語コンテンツ制作に関わる2名とともに協議しながら、様々な動画コンテンツに字幕を付けて、すぐに配信することができるので、日本の方に最適な情報を届けやすいと考えています。
平地:臨機応変さは本当に重要ですよね。僕らもSNS運用をお手伝いする際は「してはいけないこと」をまず決め、それ以外は積極的に投稿していくようにしています。臨機応変に対応するために、具体的に気を付けていることはありますか。
新川:私も最初に「何をしてはいけないのか」はチームに確認するようにしていました。加えて確かめていたのが、「ウィザーズが何を大事にしているのか」です。
ウィザーズはモニュメンタル・スポーツ・アンド・エンタテイメントというeスポーツも含めた6つのスポーツチーム、ウィザーズの本拠地であるキャピタル・ワン・アリーナ、さらにはOTT(Over The Top)のモニュメンタルスポーツネットワークなどを抱えるグループに属しています。そのため、グループとして統一したメッセージ、またウィザーズ独自のブランディング戦略などもあります。そのあたりも踏まえ、日本の方向けの戦略を設計するようにしています。
日本での流行も取り入れてローカライズ
平地:グループ全体とチーム独自の伝えたいメッセージを、日本向けにローカライズして戦略に落とし込むのは非常に重要ですね。
新川:そうですね。これまで経験してきた通訳の仕事とSNS運用には正解がないと思っています。さらに、海外チームの日本語アカウントのSNS運用は、特殊で事例もあまりありません。
NBAにおける日本語アカウントはウィザーズのみなので、アメリカの文化や独自の記念日、ホームタウンであるワシントンD.C.に関することなど、アメリカに関する紹介も忘れずに行っています。たとえば、ワシントンD.C.は桜が有名なんですが、歴史をさかのぼると日本から送られてきたんです。そのような日本とワシントンD.C.の友好関係に関するエピソードなどを届けています。
そのため、アメリカのことを日本に届けていく役割もありますし、反対に日本のことを社内に共有していく役割もあると思っています。
平地:日本toアメリカの視点だと、先日Bリーグの田渡凌選手が投稿した「#エアロビチャレンジ」の動画をウィザーズのマスコットであるG-Wizが実践して話題になりましたね。
G-Wiz (@WizardsGWiz) も #エアロビチャレンジ に挑戦! pic.twitter.com/ootHhF9x6d
— ワシントン ウィザーズ (@washwizardsjp) April 8, 2020
新川:田渡選手の動画は八村選手も反応していたりと、バスケファンの間で非常に話題となっていました。これをマスコットが踊ったらおもしろいのでは、と思い担当者に提案したところ、マスコットの担当者も快くOKしてくれたので、実現に至りました。
動画は話題になり、田渡選手にもリツイートいただけたので、日本バスケットボール界とつながる投稿も必要だと感じましたね。
