Criteoは2025年10月24日、「消費者とマーケターから見たAIエージェント:認知・活用意向に関する調査」の結果を発表した。
同調査は、オンラインショッピングを2〜3ヵ月に1回以上利用する20歳から59歳の一般消費者と、従業員500名以上の企業でデジタルマーケティングの意思決定に関与する同年代のマーケターを対象に実施された。
日本のAI活用実態:消費者は「検索代替」
調査によると、情報収集のファーストアクションは「検索エンジンから始める」が70%で1位、「生成AIから始める」が11%で、2位の「SNS検索」(12%)に迫る結果だった。
同社による米英の消費者を対象とした調査結果では、消費者の85%が買い物にAIツールを使用、毎週AIツールを使用している人は71%にも上ることがわかっており、その状況と比較すると、日本の消費者の動きは鈍いという。
AIを利用し情報収集をする消費者の中で、活用機会が多い商品ジャンルは「家電」(38%)、「生活用品」(33%)、「旅行」(31%) など、比較検討する上で商品数や情報量が多いカテゴリーが上位を占めた。
生成AI利用者は、98%が生成AIの提案を「受け入れる」と回答しているものの、購入自体はAIインターフェース内で完結せず、70%が「公式サイトやECサイトでさらに情報収集する」 と回答した。
その背景として、CRITEO パートナーシップ戦略責任者の池田智幸氏は「最終判断は人間による意思決定を好む」「特定商品への偏りを感じる」「提案内容の正確さや信頼性が欠けている」といった、AIへの慎重な姿勢がうかがえると補足した。
AI活用への興味・期待については、消費者の約6割(59.1%)が「興味がある」と回答。今後AIに期待することとして最も多かったのは「商品の比較」(43%)、次に「ニーズに合った商品・サービスの提案」(37%)だった。
日本のAI活用実態:マーケターは「コスト」に課題
対するマーケターの実態としては、87%が既に業務でAIを活用していることがわかった。活用方法で最も多いのは「市場調査」(84%)で、「開発・実行」(62%)、「評価・改善」(60%) が続いた。また、企業規模が大きいほどAI活用率は高まる傾向が見られ、業務効率化だけでなく戦略立案や意思決定支援にも貢献していることが示唆されているという。
マーケティング活動の各フェーズでAIの利用が進んでいる一方で、活用時の課題としては「維持・運用コスト」(54%)、「導入費用が高い」(47%)といったコスト面が上位を占め、次いで「データ品質・正確性」(42%)が挙げられた。
マーケターの86%が消費者の購買行動の変化を実感。特に「ニーズの細分化」(58%)や「情報源の多様化」(51%)など、マーケティングの上流工程での変化を認識していることが明らかになった。
AIエージェント普及後の未来は
AIエージェントの認知率は94%に達し、活用意向も92%と高い数値を示した。
消費者がAIエージェントを利用するようになった場合、マーケティング活動にどのような影響が出るかという問いに対し、90%ものマーケターが「マーケティング活動を変える必要がある」と回答した。
AIエージェントが利用される場合のマーケティング活動の変化を予測した回答結果は、「AIエージェントを活用した広告活動の増加」(44%)、「情報提供や購入後フォローアップ」(39%)、「AIが比較評価しやすい要素へ重点を置く」(37%)となった。
調査概要
調査期間:2025年9月5日~8日
調査対象:20~59歳の2~3ヵ月に1回以上オンラインショッピングを利用する一般消費者、および従業員500名以上で直近1年以内に広告出稿経験を持つマーケター。有効回答は517名。
調査方法:インターネット調査(マクロミル社が実施)
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