※本記事は、2020年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』54号に掲載したものです。
緊急事態宣言にともないアプリダウンロード数が上昇
新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言の発令、外出自粛要請を受け、生活者のライフスタイルは大きく変化した。自宅で過ごす時間が多くなるなか、モバイル市場においてはどのような変化があったのだろうか。
図表1は、2020年1月から4月におけるアプリの週平均ダウンロード数の推移だ。
4月の週平均ダウンロード数は、1月と比較して31%増加している。3月からの休校や休業といった外出自粛の影響もあり、急激にアプリダウンロード数が増加した。自宅で過ごす時間が増えたことで、新しいアプリを探してダウンロードするという行動変容が起きたことは容易に想像がつく。
図表2は、緊急事態宣言が発令された4月5日週と、2019年第4四半期(10月〜12月)の週平均アプリダウンロード数をカテゴリー別に比較したものだ。
緊急事態宣言発令の週に日本人が最もダウンロードしたアプリカテゴリーはビジネスカテゴリーで、次いで教育カテゴリーとなった。ビジネスカテゴリーの急伸はオンライン会議ツール系が主な牽引要因となり、教育カテゴリーはオンラインの語学勉強アプリと学校の授業の配信を行うためのアプリが主な牽引要因である。
ニュース&雑誌のカテゴリーにおいては、情報感度が急速に高まる中、より正確かつ迅速な新型コロナウイルス関連情報を得るためなのか、タイムリーな情報発信や位置情報と連動した感染予防機能が受け入れられ、大きくダウンロード数を伸ばした。また誰かと繋がるニーズが急速に生まれ、ソーシャルネットワークのカテゴリーも急上昇。エンターテインメント等の巣ごもり需要と同じく、新たなユーザー開拓に成功した。
コロナ禍の日本において、アプリのダウンロード数が増加したことは、企業にとっては新規ユーザー獲得に追い風だったと言える。では生活者のモバイルに投下される時間はどう変化したのだろうか。