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話題化につながる「オフライン広告」の4要素

 インターネット広告の躍進が著しい昨今でも、OOHや新聞、雑誌をはじめとするオフライン広告は爆発力と拡散力を秘めたメディアです。本稿では、広告プラットフォーム『BIZPA(ビズパ)』でメディアプランナーとして広告のプランニングに携わる加藤氏が、2021年下半期(2021年9月~2022年3月)に話題になったオフライン広告とその傾向について解説します。

※本記事は、2022年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』78号に掲載したものです。

2021年下半期に話題になったオフライン広告から「話題化」の要素を探る

 2021年度(2021年4月〜2022年3月)は、2020年度同様、新型コロナウイルス流行による外出自粛に左右された1年となりました。ここ2、3年の傾向どおり、人流の影響を受けやすい駅広告や看板などのOOHへの出稿を控え、インターネット広告など費用対効果が見えやすい広告に投資した企業が多かったように思います。実際、2021年度のインターネット広告費の前年同月比は、2020年の数値を超え、今なお拡大を続けています(電通「2021年日本の広告費」より)。

 とはいえ、インターネット広告はキーワード検索など“何かしらのアクションを起こしたユーザー”のターゲティングに強みのある広告であり、まだアクションを起こしていない、いわゆる“潜在層”を狙いにくい点は捨てきれません。現に、「インターネット広告でユーザーは獲得できるけど、獲得単価が上がってきている」「潜在層を含め、見込みとなるユーザー母数を増やしたい」とオフライン施策についてご相談いただくケースも増えてきています。

 私はメディアプランナーという職業柄、日々様々なオフライン広告を現地に見に行き、写真を撮り、「なぜ話題になったのか」を考察しています。本稿では、2021年下半期に入ってから私が撮影してきたオフライン広告の写真5,000枚の中から、話題となったものをピックアップ。そこから見えてきた、話題化につながった4つの要素について解説します。今後の施策の参考になれば嬉しい限りです。

話題化の要素(1)ユーザーを巻き込む仕掛け

 話題化につながる要素の1つ目は、「ユーザーを巻き込む仕掛け」です。こちらについては、キャリアSNSサービス「YOUTRUST」のOOHが印象的でした。

 同広告は2021年8月末から渋谷や東京駅などで掲出を開始し、毎週場所を変えながら各地で広告を展開。特筆すべきは、広告デザインのメインがYOUTRUSTユーザーの投稿内容であった点です。

 クリエイティブには、YOUTRUST自体のサービス説明はなく、ユーザーの投稿内容を全面に押し出した構成。ユーザーからしたら、自分の投稿が載った場所を“つい撮影したくなる”クリエイティブになっていました。実際、OOHに掲載されたYOUTRUSTユーザーが、他のSNS(Twitterなど)で発信することで自然と投稿数が増え、広く拡散される好循環を創出しました。

渋谷駅で展開された「YOUTRUST」の広告。クリエイティブに使われているのが、各ユーザーによるYOUTRUST上の投稿内容
渋谷駅で展開された「YOUTRUST」の広告。クリエイティブに使われているのが、各ユーザーによるYOUTRUST上の投稿内容

 また、出稿場所の多くが“写真映えしやすい面”を中心に選定していた点も特徴の1つです。具体的には「写真を撮る際に人が写り込みにくく、1枚絵の写真に収めやすい」「迫力が出やすく、ついユーザーが足を止めて写真に収めたくなる場所」です。実際に投稿されたユーザーの写真を見ても、人の写り込みが少なく、投稿内容にフォーカスしていることにお気づきいただけると思います。

 OOHというと“とにかく人どおりの多い場所”で多くの方に見てもらいたいと考えがちですが、SNSでの話題作りに割り切って、広告面の選定をするのもいいかもしれません。

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ アドクロ編集長

 食品メーカーで営業職を経験後、2019年に同社入社。主に、編集長として広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」のコンテンツ制作、プランナーとしてスタートアップやベンチャー企業の集客支援を担当。「広告巡礼」を日課としており、見つけた広告事例はXTikTokで発信、テレビ出演やセミナー登壇も多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/39249

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