話題化の要素(2)特殊ギミックで“驚き”を生む
2つ目は「特殊ギミック(仕掛け)」が使われていたこと。これに関しては、2021年12月に掲出されたGoogle社のスマートフォン「GooglePixel」の駅広告が大きな反響を呼びました。
この広告は、GooglePixelの広告キャンペーンの一環として、新宿駅などの大型ターミナルで実施。驚くべきは美術館のように絵画実物が展示され、その横にGooglePixel本体がディスプレイされるという、今までに見たことのないクリエイティブとなっていた点です。
過去、絵画をモチーフにした美術館風のクリエイティブであれば見たことがありましたが、絵画実物を掲示してしまう思い切った構成には正直驚きました。見た目は完全に美術館です。お気に入りの作品を二次元コードからデータでダウンロードできたり、実物の抽選販売に申し込んだりできる点もユニークでした。
また、2021年10月末に実施された、『劇場版ソードアート・オンライン-プログレッシブ-星なき夜のアリア』の広告も話題となりました。
一見すると真っ黒な一枚絵となっていますが、近くでカメラのフラッシュ機能をつけて写真を撮影することで隠れたイラストが現れる仕組みとなっています。同作に登場する、“閃光”のアスナにちなんだこの施策はファンを中心に話題を呼びました。
新宿駅メトロプロムナードに昨日まで掲出されてた、劇場版SAOプログレッシブの巨大横長広告。一面黒色の中「絶望を照らす《閃光》となれ。」のメッセージ通りに、閃光(フラッシュ)撮影をすることで、鋭い目つきの閃光のアスナさんが浮かび上がった。
— 乙城蒼无(Otusiro, Aomu)@C100土曜日東ラ37a (@aomu) October 31, 2021
※6分割撮影したものをLightroomでパノラマ合成 pic.twitter.com/PNzZSBbs45
特殊ギミックでは、2022年1月に「明治プロビオヨーグルトR-1」が展開した大学入試共通テストの応援メッセージ広告も忘れてはいけません。見る角度によってデザインが変わる駅広告はSNSを中心に話題となりました。
同広告では、ベローズプリントという特殊印刷を採用。試験会場へ行くときと、試験会場から帰るときとで読めるメッセージが変わるようになっています。
ウエハースなどのお菓子についてきた、おまけカードなどで見たことがある方も多いかもしれませんが、実はこの技術自体は決して目新しいものではありません。ただ、この技術を広告デザインに落とし込み、行きと帰りでデザインを変えるアイデア力には驚かされました。
今まで看板や駅広告などのOOHというと、期待できる効果は「ブランディング」や「知名度アップ」がメインでした。一方で、この効果を数字として明確に表すことが難しいゆえ、実施に踏み出せないケースも多くあったと思います。
ただ直近はSNSの発達もあり、数字をともなう結果が期待できる広告に変化してきています。実際、OOHの効果指標を“UGC(User Generated Contents=ユーザー発信のコンテンツ)”の量とする企業も多くなってきています。SNSとオフライン広告は切っても切り離せない関係です。何かと話題化しやすい、特殊ギミックを使った広告は今まで以上に増えてくるのではないでしょうか。
