経験ゼロでも作れるコミュニティとイベント
今回紹介する書籍は、『ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書』。著者は、イベントプラットフォーム「Peatix」の創業者で取締役の藤田祐司氏と、伊藤園、コクヨ、サントリーなど、数多くのビジネスコミュニティをプロデュースする河原あず氏です。
これからの企業にとって必須である「ビジネスコミュニティ」。どんな危機や環境変化に直面しても、熱心な常連やファン(=コミュニティ)に支えられていれば、安定的に利益を生みだしながら成長することができます。つまり、自社の製品やサービスに愛着をもってくれる顧客コミュニティを持つことこそ、企業の大きな強みになるといえるでしょう。
本書は、そんなファンをはぐくむコミュニティの作り方や、コミュニティには欠かせないイベントの企画から開催までの具体的なノウハウを解説しています。
コミュニティ作りは10人から
「コミュニティを作ろう」。そう考えたら、まずは製品やサービスの熱心なファン10人に声を掛けることを著者は薦めています。
具体的には、5〜10人規模の小さなミートアップを開催する。そこで製品やサービスの長所や短所をヒアリングしながら、少しずつ無理のない範囲で人の輪を広げていくことが、最初のステップだといいます。
また、コミュニティを運営し始めると、参加者たちが集まるイベントを企画する機会が増えますが、せっかくなら、たくさんの人に興味をもってもらえるイベントにしたいもの。
そこで著者が紹介しているのは、「おもしろい」イベントを作るときに意識すべきポイント。人を惹きつける企画を設計するには、次の3つの方程式が役に立ちます。
「おもしろい」イベントの3つの方程式
【1】意外な掛け算で驚きを生む
【2】足し算でおもしろさの量を増やす
【3】組んで変化のおもしろさを引き出す
【1】についてのみ解説すると、イベントにおける掛け算とは、まったく異なる分野のイベントを掛け合わせることを指しています。人は、予想もしなかった組み合わせを見ると「ハッ」として、関心を寄せてくれるのだといいます。
たとえば、バラエティ番組に出演したことのない実力派俳優がお笑い番組に登場すると、思わず見てしまう、という経験はありませんか。ここでのポイントは、コミュニティとまったく別のジャンルを組み合わせることです。
本書は、このようにコミュニティの立ち上げ方や、コミュニティ運営に欠かせないイベントの企画から集客に至るまで、数百以上のコミュニティ・イベントに関わってきた著者の体験を基に解説されています。さらに第3章では、コロナ禍以降、盛んになっているオンラインイベントの運営アドバイスも。消費者との関係構築が必要なマーケティング/ブランディング担当者は、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか(編集部のイチオシは、巻末付録の「イベントを盛り上げる神ワザ101」です)。