UGCはダークソーシャル上にも発生している
TwitterやInstagramのタイムラインや公開アカウント、公開ブログなど、ソーシャルメディア上で誰もがアクセス可能なSNSやアカウントを「オープンソーシャル」という。
ダークソーシャルはその対になるもので、Twitter、InstagramのDM、鍵アカウント、LINE、Slackといった社内チャットツールなどが該当する。外部からのアクセスが不可能だったり会話内容のデータ取得ができなかったりするなど、情報が公開されないSNSのことだ。
本連載の第3回まで解説してきた話は、すべてオープンソーシャルを前提としたデータや考え方だった。よって、「クチコミ(UGC)=オープンソーシャル上で見られるもの」と認識していた人もいるかもしれない。
しかし、UGCの発生はオープンソーシャルに限らない。UGCはダークソーシャル上でも発生しており、第三者からは見えない場所で自社商品やサービスの会話が生まれている。
「シェアのうち8割以上がダークソーシャル」という調査結果も
たとえば、友人と食事に行くとき、LINEでレストランや居酒屋のURLを送り合ったことがある人は多いのではないか。何でもない行動のように見えるが、これもダークソーシャル上でその飲食店のクチコミを発信する行動の一つだ。
同じブランド好きでつながっているInstagramユーザーが商品情報をDMで交換するのも、見えない場所でブランドに関する会話をしている行為だ。TwitterのDMでフォロワーから公開中のおすすめ映画の情報が送られてくるのも、Facebookの限定公開で展示会の感想が投稿されるのも、すべて同様にUGCとして捉えられる。
SNSを活用したマーケティングにおいて、UGCを起点に成果を出す手法はある。しかし「可視化できるUGC」のみが成果に貢献しているわけではない。自社商品がダークソーシャル上で紹介されて売れたら、「可視化できないUGC」も成果に貢献したことになる。ちなみに筆者は、友人から公開中の映画をLINEでおすすめされて劇場に足を運んだり、上司からSlackで紹介された本を購入したりした経験があるが、これも可視化できないUGCだ。
少し前のデータとなるが、アメリカのマーケティング会社、Radium Oneが発表した調査資料は、モバイル上におけるWebサイトのシェアのうち、84%がダークソーシャル上で行われていたことを示した(2016年の調査結果)。データ上の観点から見ても、SNSを活用したマーケティングにおいてダークソーシャルの存在を認識することが重要だとわかる。