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DAUが大幅増加!LINEマンガのキャンペーンから学ぶ、獲得と認知を両立するTwitter活用

 スマホマンガアプリの「LINEマンガ」は、サービス開始から7周年を迎えるタイミングで、Twitterを中心にした大型キャンペーンを実施。アプリ連動にすることでDAUを伸ばしつつ、Twitter上にいる様々なマンガ好きの利用者から会話を引き出し話題化することにも成功した。本記事では、このTwitterを駆使したキャンペーン詳細について、LINEの小山氏と小島氏に話を聞いた。

周年を活かしたフルファネル施策を

MZ:今回、7周年を記念したキャンペーンをTwitter中心に行ったと聞いています。その背景から教えてください。

小山:周年キャンペーンは毎年行っているのですが、大きなインパクトを残せていないことに課題を感じていました。今回は周年キャンペーンを通じてDAUが大幅に増加したという成果を残すために、これまでよりも予算を投じつつ、今までにないチャレンジングな施策を実施することにしました。

 Twitterを中心に据えたのは、マンガと親和性の高い利用者がTwitterには多いであろうという仮説と、ここ最近LINEマンガに対するTwitter上での言及が減っているという課題感からです。

LINE株式会社 ソーシャルメディアプランニングチーム マネージャー 小山 真氏

MZ:Twitterでの広告運用というのは、これまでも行っていなかったのですか。

小島:Twitterは新規ダウンロード獲得のメイン媒体として、モバイルアプリプロモーション(MAP)を中心に運用を行ってきました。しかし、MAPだけでは下位ファネルの顕在層へのアプローチが中心となってしまうため、今回の周年キャンペーンでは認知や理解促進などの上位ファネルにも目を向けました。

LINE株式会社 コンサルティングチーム 小島 理加氏

MZ:ちなみに、これまでの周年キャンペーンでは大きなインパクトを残せていなかったとのことですが、具体的にはどういった施策を展開していたのでしょうか。

小山:基本的には、アプリ内で通常より読める作品を増やし、それをフォロー&リツイート(RT)キャンペーンで拡散させていました。ただ、周年だからといって特別な内容は少なく、定常的に行う企画の延長線でしかありませんでした。

 アプリのDAUも、周年キャンペーンによって大幅に増加する傾向が見られたケースはなかったので、周年というモーメントをもっと活かしたいと考えていました。

起動に結び付くインセンティブキャンペーンとは

MZ:では、実際のキャンペーン内容について教えていただけますか。

小山:「LINEマンガ7周年 超感謝祭」と題し、777話以上のマンガを無料公開する、日替わりで人気作を24時間全話無料で読めるようにするなど、様々な企画を行っていました。そして、中でも目玉となったのは、Twitterでのプレゼントキャンペーン「#全巻あげちゃうから読みたいマンガ教えて」です。

 LINEマンガの公式アカウントをフォローし、キャンペーン期間中毎日投稿されるキャンペーンツイートをRT。ここまでは通常のフォロー&RTキャンペーンと変わらないのですが、今回はアプリ内での抽選を可能にしました。

 これにより、フォロー&RTした上で、アプリを起動して応募するため、DAUにも寄与する設計が可能になりました。

MZ:インセンティブは読みたいマンガの全巻プレゼントということでしょうか。

小山:はい、7周年にちなんで777名に、欲しいマンガ全巻分のマンガコインをプレゼントしました。当選者にはアンケートで欲しいマンガを記入してもらったのですが、最新の人気作を希望する方もいれば、これから集めるのが大変そうな巻数の多いマンガを希望する方もいましたね。

話題を最大化する広告投資を実施

MZ:インセンティブがきちんとマンガと関連していて、かつアプリを起動して参加するため懸賞目的のアカウントによる参加も減らせて良いですね。広告はどのように活用しましたか。

小島:キャンペーン初日には「#全巻あげちゃうから読みたいマンガ教えて」をハッシュタグに設定して、プロモトレンドを行いました。

 その後、キャンペーン認知を目的にキャンペーン対象ツイートをプロモツイートとして広告配信。プロモトレンド以外の期間もキャンペーンの参加を促しながら、新規ダウンロードを目的としたMAPの増資も行いました。

MZ:プロモトレンドで話題を作りながら、キャンペーン告知や新規ダウンロードの促進なども行うことで、フルファネルでアプローチされていたんですね。その他にキャンペーンの中で仕掛けた施策はありますか。

小山:既存層に向けた告知と、オーガニックツイートを増加させるための施策ですね。前者に関しては、アプリ内の見えやすい位置にTwitterキャンペーンに関するバナーを設置しました。通常はアプリからTwitterに積極的に遷移させることはあまりやらないのですが、今回は社内調整の上実施させてもらいました。

 後者に関しては、キャンペーンにWチャンスを用意して、欲しいマンガの作品名をツイートすると抽選で1,000名様に500マンガコインをプレゼントしました。このWチャンスもうまく機能し、オーガニックのトレンドでも「超感謝祭」「#LINEマンガ7周年」が上位にランクインしました。

DAU、フォロワー、新規DLがすべて増加

MZ:アプリ内外でフルファネルの施策を展開し、Twitterも多くの話題を集めたLINEマンガの7周年キャンペーンですが、得られた成果について教えてください。

小山:目的としていたDAUの数字達成に大きく寄与することができました。加えて、キャンペーン後もDAUは伸び続けています。キャンペーンを通じて得られた一番大きな成果だと思います。

 また、プロモトレンドを出した日はオーガニックでのトレンドも1、2位を席巻しました。これにより、キャンペーンの参加者数もさらに増加し、LINEマンガに関する情報に触れる人が増えたと考えます。Web媒体で取り上げてもらう等の想定以上の露出も獲得できました。

 さらに副次的な効果として、期間中にフォロワーが大幅に増加したんです。2020年プロモトレンド実施案件の中で最も多い増加数と聞いています。インセンティブがサービスに関連していたこともあり、マンガ好きを中心に非常に親和性が高い方にフォローしていただけました。

 フォロワー数が増えると、投稿に対するエンゲージメント率は下がるのが一般的ですが、むしろキャンペーン実施後は増加したので驚きました。

MZ:広告効果としてはいかがでしたか。

小島:プロモトレンドに関しては、Twitter Japanの方から「他社の実績よりも効果が高かった」とレビューをいただいています。実施時期をゴールデンウィークに合わせたことに加え、あえて広告感を抑えたハッシュタグ表現や視認性の高いクリエイティブが功を奏し、非常に多くのインプレッションやエンゲージメントを獲得することができました。

 ブランドリフト調査の結果も、「メッセージの認知」「サービスの購入/利用意向」「広告想起」すべての項目で広告非接触者に比べエンゲージャー(キャンペーン参加やいいねなどのアクションをとった人)のほうが大きくリフトしていることが確認できました。

MZ:MAPも増資して獲得を強化していたと思いますが、その数字も良かったですか。

小島:プロモトレンド実施当日は、ダウンロード率が以前の平均よりも上昇し、ダウンロード数を大幅に増加させることができました。さらにプロモトレンド実施後も、高いダウンロード率を維持することができ、定常的に行っているMAP配信にも好影響があったと考えています。

カギはTwitterネイティブに問いかけること

MZ:今回の施策を通じて得られた気づきや学びがあれば教えてください。

小山:改めて、Twitterとマンガの親和性の高さを感じることができました。キャンペーンのハッシュタグ(#全巻あげちゃうから読みたいマンガ教えて)を付けて、様々なマンガ作品名をツイートしてくれたのですが、マニアックな作品の投稿が特にバズっていました。しかも、よく見るとバズってるツイートのフォロワーは数人しかいないってことも。

 そのような出来事がキャンペーン期間の10日間で広がっていき、マンガ好きな方がハッシュタグを検索し反応してくれていたのだと推測できます。今回のように、サービスと親和性の高いキャンペーンを作り、いかに会話を引き出せるかがTwitter活用においては重要なのだと、勉強になりました。

左の2人は、 今回のキャンペーンをサポートしたTwitter Japanの小岩井 恵視氏、伊藤 政司氏

小島:広告に関しては、Twitterネイティブな人々に楽しんでもらえる設計作りの重要性に気づきました。普段はマンガに興味関心が高いと想定される利用者を中心にターゲティング設計をして広告を配信しますが、今回は全てのTwitter利用者の目に入ることを特に意識しました。

 その上で、認知目的の広告だからといってマスマーケティング的に一方的にメッセージを届けようとするのではなく、利用者にTwitterライクな問いかけをすることによりメッセージを自分ごと化してもらえるよう工夫しました。これが成功につながったポイントだと実感しています。特にプロモトレンドは、投資としては安くないので、意味のあるものにするためにもこの観点は重要だと思います。

 そして、認知目的だからとプロモトレンドだけを切り離して考えるのではなく、それを軸にMAPや他の要素に相乗効果を生み出す設計の必要性や細かな調整のコツは、次回に生かせる学びとなりました。

マンガファンの会話を気持ちよく引き出す

MZ:今後、Twitterをどのように活用していきたいですか。

小山:私はTwitterアカウントの運用も担当していますが、Twitterには嗜好の異なるマンガファンが大勢います。その方たちは発信に対する意欲も高いので、その人たちから会話を気持ちよく引き出していきたいです。そのためにも、今回のような施策を戦略的に繰り返したいと思います。

 また今後、フォロワーの方とのリプライによるやり取りも広げることも検討しています。今回のキャンペーンの当選通知をDMで送ったのですが、すごく嬉しいメッセージをくださる方も多く、中には何度かやり取りをした方もいました。今後はよりオープンな場で、フォロワーの皆さんと中の人としてコミュニケーションをとりたいです。

MZ:では、最後に小島さんからもTwitter広告に関する展望をお願いします。

小島:世の中のトレンド以上に、Twitterのトレンドは早く移り替わります。そのため、広告代理店さんの力をお借りしつつ、Twitterのトレンドを逐一チェックしながら広告のPDCAを素早く回したいです。

 すぐに実践できるのは、Twitterのクリエイティブ表現の改善。Twitter内でよく使われるツイート表現やマンガを紹介するフォーマットがトレンドに沿ったものかどうかは、今後も意識し、スピード感をもって制作に反映していきたいと思っています。

 また、今後は準顕在層のTwitter利用者を対象とした、サービスや作品の理解促進もTwitter広告の活用により実現できると考えています。これまでは、顕在層のダウンロード獲得を目的としてMAPを中心にTwitter広告を運用し、今回潜在層を含むTwitter利用者への認知を主な目的としてプロモトレンドを実施し、成功を収めました。

 そして、今後はユーザーを巻き込む会話型の施策やスポンサーシップ施策を積極的に活用し、エンゲージメント獲得を意識した広告展開を行っていきたいです。これにより、フルファネル設計をより強固なものとし、LINEマンガとTwitter広告の親和性を今まで以上に高めることができると期待しています。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33808