他媒体との併用でリスクヘッジに
RTB Houseのもう一つの利点は、リスクヘッジの要素として機能していることだ。
主要媒体で技術的なトラブルが発生し停止した際に、出稿予算のバランスが大きく偏っていれば、その分予算ポートフォリオに甚大な影響が及んでしまい、売り上げへのリスクが大きすぎる。そのため、基本的には複数媒体の構成によって、予算効率をヘッジするのがベストだ。この観点からも、Google、Facebook、Criteoなどの主要媒体と同等、もしくはそれ以上のパフォーマンス力のあるRTB Houseはポートフォリオを支える太い柱の一つとして機能することができ、より安定した配信につなげられるのだという。
また、成果には日本法人による柔軟なサポート体制も影響している。各企業からのカスタマイズや要望の声も届きやすく、スピード感と交渉力も大きなメリットとして受け入れられている。
海外発の広告プラットフォームが多く存在するなかで、高橋氏は「日本法人は結局のところ『御用聞き』になっているパターンがかなり多い」と話す。RTB Houseでは、クライアントや市場の要望をヒアリングしながら本社との協議を率先して行ってきた。これにより、クライアントと日本チームの協力体制を築きながら、より良いプロダクトを目指すことができるという。
よりコンテンツに近い広告へ
数値としての成果のほか、ラーニングがきちんと機能することで現れている効果に挙げられるのが、広告がユーザーにとってより「コンテンツらしいもの」に近づいていることだ。
以前のリターゲティング広告では、ユーザーが既にECで閲覧した、購入した商品などが表示されることも多かった。しかし、より学習が進んだダイナミック広告ではそのような商品を意図的に省くことも技術的に可能になっている。SUUMOの例でいえば、ユーザーの趣味思考に沿ってレコメンドされた物件は、ユーザー側から見るとコンテンツとして認識されやすく、特にInstagramのフィード画面などで見ると自然で違和感がないとの意見もあった。このような期待値は当初はなかったものの、広告の新たな捉え方としての発見となった。
RTB Houseは主要メディアとの重複を危惧されやすいが、SUUMOにおいては予算内でそれ以上のコンバージョン、ユーザーの獲得が積み増しされている。もちろん多少の配信重複はしてしまうが、SUUMOが行った検証の結論として問題はまったくなく、むしろ被っていても各々の媒体が逐次で全体数が伸びていればむしろポジティブだと受け入れられているとのことだ。実際にRTB Houseを利用している他企業でも同様の感想を得ることが多いという。