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「BtoBの事業拡大にブランディングは欠かせない」ラクスル&SmartHRが語るマーケティング戦略

2020/08/25 09:00

 6月19日に開催された「MarkeZine Day 2020 Summer Kansai」の最後を飾る特別講演に、急成長中のBtoB企業であるラクスルの取締役CMO/ノバセル事業本部長である田部正樹氏とSmartHR 執行役員/VP of Marketingの岡本剛典氏の2名が登壇。テレビCMでも良く見かける両社が、どのようにマーケティング投資をし、成果を出しているのかが明らかになった。

目次

ラクスルが認知率、会員獲得数、売上高すべてを押し上げた方法とは

 両社による講演では、ラクスルとSmartHRがこれまでどのようなマーケティング戦略を描き実行し、成長してきたのかが明らかになった。

 2013年にスタートした印刷・集客支援のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」を主力事業とするラクスルは、上場前の2011年から2017年にかけて約79億円の資金調達を実施。そのうち約57億円をマーケティング施策、特にテレビCMに投資。認知率は60%を超え、獲得型のネット広告のCPAは半分にまで下げることに成功した。2014年から2019年にかけて新規会員獲得数は8倍に、売上高は約24倍となり、業績としても順調に拡大している。

 ラクスルはなぜ、テレビCMを起点にこれほど高い成果を出せたのだろうか。

 5年前、ラクスルは競合最大手との指名検索数の差異に課題を感じていた。16倍に及ぶ差を埋めるため、マスメディアの活用を検討。総務省の「情報通信白書」に記載されていた、テレビのリアルタイム視聴時間に注目した。同資料では「30代以上のテレビ視聴時間はネット閲覧時間よりも依然として長い」というデータが出ており、ターゲット層の指名検索数を増やせる可能性が高いと判断。テレビCMへの投資を決めた。

 具体的な投資方法はこうだ。まず、1,000万円程度の予算でローカルCMを展開。富山、石川で異なるクリエイティブのテレビCMを打ち出した。各CMが獲得型広告のCPAをどのような影響を及ぼしているか測定し、成果の良いクリエイティブを把握した上でテレビCMの出稿範囲を拡大していった。

 そして、地方CMで成功したクリエイティブに有名タレントを起用して再編し、東京、大阪でもテレビCMを展開。このように、ラクスルはこれまで効果が見えにくいと言われていたテレビCMに、PDCAの概念を持ち込んだのだ。

マーケティング=プロモーションになっていないか?

 ただ、ここまでの成功を収められた要因はテレビCMのメディアプランニングが優れていただけではない。では、マーケティング投資を成功に導くには何が必要なのか。田部氏は、自身が顧客の相談に乗る際に問いかける、ある3つの問いを披露した。

ラクスル株式会社 取締役CMO/ノバセル事業本部長 田部 正樹氏
ラクスル株式会社 取締役CMO/ノバセル事業本部長 田部 正樹氏

 「『自社のサービスが顧客に選ばれる理由を理解しているか』『自社が狙える市場規模を理解しているか』『マーケティングをプロモーションだけだと思っていないか』という、3つの問いに即答できることがマーケターには求められます」(田部氏)

 ラクスルの場合、自社が選ばれる理由と選ばれない理由を徹底的に調査。両者の差を分析し「利用されないのは単純にラクスルを知らないだけなのでは」との仮説を立て、認知度拡大の施策を強化した。

 また、3つ目の問い「マーケティングをプロモーションだけだと思っていないか」に関して、田部氏はこのように解説した。

 「マーケティングと言えば、一般的にはプロモーションだけを指して言及される場合が多い。でも本来は「何を」「いくらで」「どこで」売るか、つまり「Product」「Price」「Place」「Promotion」の4Pすべてを押さえた上で、施策を考えるのがマーケティングだと考えています」(田部氏)

 たとえば、ラクスルは1セット100枚の両面フルカラーの名刺をワンコインで買える「ワンコイン名刺」をリリースした。圧倒的に便利で安価なプロダクト、わかりやすいネーミングが話題となり、マーケティングコストをほとんどかけずに露出を獲得できた。

 このように、プロモーション以外に投資をすることで成果を生み出す方法を考えることが、マーケターが持つべき本来の役割なのだ。

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