現在活用模索中のポッドキャスト
日本のマーケティング界隈でも「ポッドキャスト」という言葉を聞く機会が増えているのではないだろうか。世界的にユーザー数を急速に伸ばすポッドキャスト。広告出稿先/オウンドメディアとしてマーケティング担当者が注目する新分野になっている。
しかし、どのようなコンテンツをどう制作し、どのチャネルで配信すべきなのか、またどのようなKPIを設けるべきなのかなどわからないことが多く、手探りの状態が続いているのではないだろうか。
ポッドキャストの先行市場である欧米でも、ブランド企業によるポッドキャスト活用は試行錯誤が続いている状況。適切なコンテンツ内容や長さは分野ごとに異なるため、すべてのブランド企業に当てはまる「普遍的な成功理論」は依然見つかっていないものと思われる。
しかし、ポッドキャストを活用し、うまくブランディングしている企業の事例は増えており、そこから学べることは多数ある。自社独自のポッドキャスト戦略をどう構築すべきなのか。海外事例からそのヒントを探ってみたい。
世界人気トップは1ヵ月で2億回以上のダウンロードも
本題に入る前に、ポッドキャスト市場の規模を今一度確認しておきたい。
ポッドキャスト分析企業Podtrackの最新データによると、2020年5月世界のポッドキャスト市場でダウンロード/ストリーミング数が最多となったのは、iHeartRadioでその数は月間2億1,625万回となった。2020年1月の1億7,700万回から20%以上増加している。
2番目は、NPRでダウンロード/ストリーミング数は2億891万回。こちらも1月の1億8,500万回から12%増となっている。以下、ニューヨーク・タイムズ1億3,000万回、PRX8,286万回、Barstool Sports5,500万回、Wondery5,363万回、NBC News4,197万回など。
この数字は主に英語圏市場の状況を示すもの。英語圏以外でもポッドキャスト市場は拡大傾向にあり、国・地域・言語など様々な切り口で、その規模を体感することができる。
Statistaのまとめによると、ポッドキャスト人口が最も多い国は韓国。全人口約5100万人の同国だが、過去1ヵ月間でポッドキャストを聞いたという割合は53%に上った。2位はスペインで、この割合は39%だった。この他にもポッドキャスト人気が高い国として、アイルランド(37%)、スウェーデン(35%)、米国(35%)、イタリア(30%)が上位にランクインしており、日本は23%という状況だ。英語圏の国が多いが、スペイン、イタリア、フランス、日本、ドイツなど、非英語圏の国々でもポッドキャスト人気が高いことを示す数字と言えるだろう。
弊社Livitでも2019年末から「グローバル・インサイト」という番組で日本語でのポッドキャスト配信をSpotifyなどいくつかのプラットフォームで開始したが、2020年6月現在、ストリーミング数は約9,000回となり、フォロワー数も月間平均20%で増加している。