ポッドキャストでのブランディング、成功へのヒント
急速に成長し、より高いエンゲージメントが得られる可能性のあるポッドキャスト。自社ブランディングで活用したいと考える企業は多いはず。
スウェーデン発のグローバルポッドキャスト企業Acastは、企業のポッドキャスト戦略で重要な視点を2つ共有している。
1つは「長期視点で臨む」ということ。様々なポッドキャストコンテンツの制作や配信に関わるAcast。同社の経験から、ポッドキャストで成功する企業は、ポッドキャストを長期戦略の一環として捉えているという。
英国の金融機関ナショナル・ウエストミンスター銀行(NatWest)は、そんな企業の1つ。NatWestのポッドキャスト「Championing Women’s Voice」は、ホストがビジネスやスポーツなど各界の女性リーダーを招き、成功への道のりや問題解決について話し合う番組。
NatWestは、同ポッドキャストを始めるにあたり、数カ月などの短期間ではなく、より長期的なスパンでの戦略を立てていたという。Acastは、すでに名のあるブランド企業であっても、ポッドキャストにおいては、「リスナーに見つけてもらう時間」を考慮する必要があると指摘している。

ポッドキャストに対する先入観は捨てよ
もう1つ重要な視点が「普遍的な成功理論はまだ見つかっていない」ということ。
「ポッドキャストはこうあるべき」という先入観は捨てることが重要だという。ポッドキャストの内容や長さに関して、自由な発想で試行錯誤し、自社に合う方法を見つける必要がある。
たとえば、上記NatWestの「Championing Women’s Voice」は、ビジネスやスポーツなどで活躍する女性を招き、成功秘話などを聞く番組。1エピソードの長さは30分以上。
一方、1エピソード2~3分という短いポッドキャストで成功している企業もある。
欧州でよく知られる歯磨き粉ブランドのZendium。同社は、歯磨き時に聞いてもらう2分間のポッドキャスト「2 Minites of Zen」を配信し、自社の歯磨き粉ブランディングにつなげている。健康な食事に関する情報や歯磨き時にできるスクワットなど、健康に関する情報を配信している。

コンテンツの内容や長さは、文脈によって自由に発想すべきことを示す好例だ。
先行市場の欧米でもポッドキャストに関する取り組みが広がり始めてまだ数年。ポッドキャスト制作・配信のエコシステムが整い出したのも最近のこと。ポッドキャストに参入する企業が増えるに従い、成功事例が増え、方法論も確立していくことになるのかもしれない。しかし今は、長期視点で、自由な発想を持ち、試行錯誤を続けるのが、ポッドキャスト成功の近道と言えるだろう。